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4月21日3 分

まちづくりとコミュニティ 共創から競創へ ④

【内容】

  1. まちづくりと同義語

  2. コミュニティ参画のメリット

  3. まちづくりのゴール

 

 

1.まちづくりと同義語

先述したように、日本においては政府報告書「コミュニティ:生活の場における人間性の回復(1969)」において「村落共同体ではなく、新しい地域をまとめるための概念としてのコミュニティ」が記載されることにはじまります。

同じ頃にひらがなの「まちづくり」も提唱されはじめます。

 

日本屈指の地域政策プランナーの田村明氏によると、「まちづくり」とは、下記のように定義されています。

「まちづくりとは、一定の地域に住む人々が、自分たちの生活を支え、便利に、より人間らしくしていくための、共同の場を如何に作るかということである。」(1987年「まちづくりの発想」岩波書店)

この他、様々な有識者が、複数の視点で表現していますが、簡単にまとめると「身近な居住環境を改善」し、「地域の魅力や活力を高める」ことと言えます。

「まちづくり」と「コミュニティ」はほとんど同じ意味で用いられたと言えます。

 

2.コミュニティ参画のメリット

コミュニティは地域にとってはセーフティネットと上位システムとの橋渡し機能を担い、広い意味で財政負担の軽減につながります。

そしてコミュニティへの参画者のメリットは下記のように整理できます。

  1. 情報収集と知識の広がり:一人では気付かない視点や問題解決、さらには知識の広がりに繋がります。

  2. コネクションの形成:知人が増え、人間関係が広がることで、時に仕事につながります。

  3.  共有と承認欲求の充足:自分の考えを共有できる喜びや、人に知って貰い評価されることで、承認欲求が満たされます。

  4. 立ち位置の確認:仕事や金銭が絡まないフラットな人間関係の中で、経験も知識も異なる仲間と交流することで、自己発見や発奮材料になります。

  5. 参画による「創造」の喜び:自分の参加によって場を活気づけたり、積極的に運営に参画することによって「コミュニティという場」を想像する喜びにつながります。

 

参画者には、家庭でも会社でもない、「第3の居場所(サードプレイス)」を提供し、仕事とは異なる人間関係を経た安心感と充実感をもたらしているようです。

 

3.まちづくりのゴール

これだけ曖昧な「まちづくり」ですから、プロジェクトとして推進する時には、迷走してしまう事が多いようです。

 

  1. 方向性の迷走:「まちづくり」の観点が、十人十色で、まとまらない。

曖昧な「まちづくり」は、それぞれの観点で語られてしまい、何を目指せば良いのか?が噛み合いません。

土地活用の観点では、「如何に、地域を有効・高度に活用できるのか?」が論点になります。

防災や子育ての観点では、「如何に、地域の安全・安心を守れるのか?」となります。

観光や産業振興の観点では、「如何に、地域の資源を活用して、外貨を稼げるのか?」です。

それぞれの観点によって、「まちづくり」で目指すべきゴールが異なり、方向性が定まらずに迷走するのです。

 

  1. 施策の迷走:「まちづくり」の為には、何を(WHAT)? どうするのか(HOW)?が不明確です。

まちづくりのゴールが曖昧なため、マンションやオフィスを建てて、住む人や働く人を増やすことを優先すべきなのか? 

イベントを開催して、来街者を増やし賑わいつくるできなのか? 

その手段と狙うべき効果も不明確になってしまいます。

何を?どう?すれば良いのか?「まちづくり」の施策が迷走します。

社会が成熟するにつれて、マズローの5段階欲求と比例して、「まちづくり」は難解になっていくのではないでしょうか?

まちづくりを推進していく際には、「ゴールの設定・共有」と、それに伴う「施策の特定」が重要だということです。