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2022年1月21日2 分

卒・売り場思考の商業施設④ リアル顧客接点としての効果と対価

都心商業施設におけるD2Cメーカー連携による活性化が、なかなかうまく結果を出せないようです。丸の内や新宿、渋谷などで「ショールームストア」として先進的な試みが進められているものの、「非常に話題になる」「すごく売れる」といった評価には至っていません。実は何万社もある D2Cメーカーのほとんどは、扱う商材の種類が限られ、生産量も少ない状況です。出店期間も数日〜2週間程度と短く、販売スタッフやノウハウにも限りがあり、リアル売り場としては魅力を発揮できないのが実情だと推察されます。従来のテナントの入れ替えイメージで、ディベロッパー側が「集客・売上」を期待しても、無理があることを認識すべきです。従来は商業施設が「集客」し、テナント店舗が「呼び込んで販売」と言う役割分担でしたが、リアル店舗に顧客接点力を求める D2 Cメーカーに対して、ディベロッパー側は更にきめ細かな対応で提供できる価値を見える化する必要があります。

Web広告では①インプレッション課金(表示回数当たり1円程度)、②クリック課金(クリック当たり10円〜数千円程度)、③コンバージョン課金(資料請求・購入成果当たり数百円〜数万円)という課金の段階構成が定着しています。この構造をなぞると①インプレッション課金に相当する「店前通過客数」②クリック課金に相当する「体験者数」や③コンバージョン課金に相当する「ID獲得数」などの価値を評価・換算する指標を創出し、効果測定と対価を共有していく必要があるのでは無いでしょうか。実際には「b8ta」などの体験型店舗に備え付けられている センサーによる計測を通じて見える化することが可能です。

これらのプロセスを経ることで、商業施設はデジタルシフトし再生する事ができると考えます。D2 C メーカーとの連携は都心商業施設をアップデートさせる試金石なのです。単なるテナントの入れ替えと捉えるのではなく、運営スタンスの革新と考えるべきです。商業施設は単なる床貸し業から、「多彩な顧客接点プラットフォーム」にアップデートさせる覚悟が問われていると言うことです。