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「まちづくり」は、どうして「迷走」するのか?:まちづくり再考 ①

執筆者の写真: adminadmin

【内容】

1.方向性の迷走

2.施策の迷走

3.手法の迷走


日本屈指の地域政策プランナーの田村明氏によると、「まちづくり」とは、下記のように定義されています。

「まちづくりとは、一定の地域に住む人々が、自分たちの生活を支え、便利に、より人間らしくしていくための、共同の場を如何に作るかということである。」(1987年「まちづくりの発想」岩波書店)

この他、様々な有識者が、複数の視点で表現していますが、簡単にまとめると「身近な居住環境を改善」し、「地域の魅力や活力を高める」ことと言えます。

これだけ曖昧な「まちづくり」ですから、プロジェクトとして推進するには、悩みが絶えません。


1.方向性の迷走:「まちづくり」の観点が、十人十色で、まとまらない。

曖昧な「まちづくり」は、それぞれの観点で語られてしまい、何を目指せば良いのか?が噛み合いません。

土地活用の観点では、「如何に、地域を有効・高度に活用できるのか?」が論点になります。防災や子育ての観点では、「如何に、地域の安全・安心を守れるのか?」となります。

観光や産業振興の観点では、「如何に、地域の資源を活用して、外貨を稼げるのか?」です。

それぞれの観点によって、「まちづくり」で目指すべきゴールが異なり、方向性が定まらずに迷走するのです。


2.施策の迷走:「まちづくり」の為には、何を(WHAT)? どうするのか(HOW)?が不明確です。

まちづくりのゴールが曖昧なため、マンションやオフィスを建てて、住む人や働く人を増やすことを優先すべきなのか? 

イベントを開催して、来街者を増やし賑わいつくるできなのか? 

その手段と狙うべき効果も不明確になってしまいます。

何を?どう?すれば良いのか?「まちづくり」の施策が迷走します。


3.手法に迷走:どのようにして「方針」を定めたら良いのか?わからない。

様々な関係者が関わるため、方針作りも大変です。

高度成長時代のように、地域の有力者や学識者が指し示す「トップダウン型」では、関係者の共感を得られません。

だからと言って、ワークショップをして合意形成しただけの「ボトムアップ型」では、無難な意見に落ち着いてしまい、推進力に欠けるのが現状です。

「まちづくり」の手法も迷走しています。


社会が成熟するにつれて、マズローの5段階欲求と比例して、「まちづくり」は難解になっていくのではないでしょうか?

私たちは、「まちづくり」をプロジェクトとして推進していくには、「①ゴールの再定義」と「②ベクトル・メイキング」の2つのメソッド」が必要だと考えます。

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