top of page
検索

「まちづくり」は、どうして「迷走」するのか?:まちづくり再考 ①

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年9月4日
  • 読了時間: 2分

【内容】

1.方向性の迷走

2.施策の迷走

3.手法の迷走


日本屈指の地域政策プランナーの田村明氏によると、「まちづくり」とは、下記のように定義されています。

「まちづくりとは、一定の地域に住む人々が、自分たちの生活を支え、便利に、より人間らしくしていくための、共同の場を如何に作るかということである。」(1987年「まちづくりの発想」岩波書店)

この他、様々な有識者が、複数の視点で表現していますが、簡単にまとめると「身近な居住環境を改善」し、「地域の魅力や活力を高める」ことと言えます。

これだけ曖昧な「まちづくり」ですから、プロジェクトとして推進するには、悩みが絶えません。


1.方向性の迷走:「まちづくり」の観点が、十人十色で、まとまらない。

曖昧な「まちづくり」は、それぞれの観点で語られてしまい、何を目指せば良いのか?が噛み合いません。

土地活用の観点では、「如何に、地域を有効・高度に活用できるのか?」が論点になります。防災や子育ての観点では、「如何に、地域の安全・安心を守れるのか?」となります。

観光や産業振興の観点では、「如何に、地域の資源を活用して、外貨を稼げるのか?」です。

それぞれの観点によって、「まちづくり」で目指すべきゴールが異なり、方向性が定まらずに迷走するのです。


2.施策の迷走:「まちづくり」の為には、何を(WHAT)? どうするのか(HOW)?が不明確です。

まちづくりのゴールが曖昧なため、マンションやオフィスを建てて、住む人や働く人を増やすことを優先すべきなのか? 

イベントを開催して、来街者を増やし賑わいつくるできなのか? 

その手段と狙うべき効果も不明確になってしまいます。

何を?どう?すれば良いのか?「まちづくり」の施策が迷走します。


3.手法に迷走:どのようにして「方針」を定めたら良いのか?わからない。

様々な関係者が関わるため、方針作りも大変です。

高度成長時代のように、地域の有力者や学識者が指し示す「トップダウン型」では、関係者の共感を得られません。

だからと言って、ワークショップをして合意形成しただけの「ボトムアップ型」では、無難な意見に落ち着いてしまい、推進力に欠けるのが現状です。

「まちづくり」の手法も迷走しています。


社会が成熟するにつれて、マズローの5段階欲求と比例して、「まちづくり」は難解になっていくのではないでしょうか?

私たちは、「まちづくり」をプロジェクトとして推進していくには、「①ゴールの再定義」と「②ベクトル・メイキング」の2つのメソッド」が必要だと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
AI時代における企業オフィスの課題と方向性  AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 
近年の社会トピックとオフィス AI共創オフィス ③

【内容】 第1章:パンデミックが問い直した「オフィスの存在理由」 第2章:人手不足の構造的進行と“選ばれるオフィス”への転換 第3章:新時代のオフィス市場──縮小と高付加価値化の両立      前項で述べてようにオフィスは社会動向に連動して変化してきました。ここでは近年の社会トピックである「コロナと人手不足が変えるオフィス市場」、について整理したいと思います。 第1章:パンデミックが問い直した「オ

 
 
 

コメント


bottom of page