top of page
検索

「消える接客」「残る接客」 おもてなし2.0 ④

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年7月18日
  • 読了時間: 3分

【内容】

1.なぜ接客業の生産性は低いのか

2.自動化・機械化への対応

3.「消える接客」「残る接客」


1.なぜ接客業の生産性は低いのか

前回は日本の接客業が、伝統的な「おもてなし文化」と米国式「合理化システム」が混在した状況にあることを確認しました。

この辺りが「生産性が低い」と指摘される日本の接客業の課題の真因のようです。

生産性とは、一人の従業員が生み出す成果であり、「付加価値(=売上−原価)」÷「労働量(=人数×時間)」で算出されます。

「日米産業別労働生産性水準比較(2016年)」によると、米国を100とすると、日本の化学産業は143.2 、機械産業は109.6なのに対して、小売業は38.4 、宿泊業は34.0と言う低い水準になっています。

一方で日本生産性本部が行った「日米サービス品質差調査(2017年)」では、米国を1とすると、(ファミリー向け)レストランでは、1.05〜1.11 、(エコノミー)ホテルでは1.09〜1.28の様に、ほとんどのサービスで日本の方が「質」が高いと評価されています。

「質」の高さと「生産性」の低さが、日本の接客業の特徴なのです。



2.自動化・機械化への対応

生産性を高めるためには、自動化・機械化への対応が不可欠です。

技術革新は、以前から進んでいましたが、コロナ禍における「対面接客の回避」、そしてアフターコロナの「人手不足」を踏まえて、自動化・機械化の導入が一気に加速しています。

飲食業においては、大手チェーンを中心に、受付や注文、会計の機械化をはじめ、調理、盛り付け、配膳ロボットなども、導入されています。

今後は、飲食業・宿泊業共に、下記の様な使い分けが普及するのではないでしょうか。

①セルフ:受付・チャックイン、注文、下膳、会計・チェックアウトなど 

②ロボット:案内、調理・盛り付け・食洗、配膳・荷搬、警備・清掃など

③人手:調理・盛り付けの一部、 催事・VIP対応、清掃の一部、トラブル対応など


ただ、飲食業・宿泊業は、中小企業により運営されている施設も多く、経済的及び空間的な制約から、導入が難しいケースが多いと予想されます。


3.「消える接客」「残る接客」

上記の様な技術革新が進むと、「2030年には、接客の80%が消滅する」とも言われます。

接客には「①情報を与えてくれる②案内・会計をしてくれる③幸福感を与えてくれる」の大きく3つの役割があり、最初の2つについては AI やロボットとの代替が進みますが、3つ目の「幸福感を与える」は「圧倒的に人が得意」な領域なのです。

顧客育成コンサルタントの斎藤孝太氏は、「幸福感を与えてくれる」について、3つの接客法を解説しています。

①共感接客:お客様が言葉に表せない欲求を「察する接客」で、お客様の話を時系列で積み重ね、筋道を立てて思考する傾聴と想像力が求められます。

②共振接客:接客を通して、身近な専門家としてお客様の未来を伝えて「なるほど」と納得と希望をもたらす力が求められます。「ココロが動かす接客」です。

③共有接客:商品・サービスを享受したことから生まれる感情を、スタッフと「分かち合う」ことによって、「体験を共有できる接客」です。


現在、行われている接客の内、自動化・機械化が可能な80%は、合理化が可能ですが、「残り20%」は、人による接客の必要性が高く、ずっと残ると考えられます。

共感、共振、共有を通じて、「人に幸福感を与えてくれる接客」こそ、人間にしかできない、ずっと残る接客だと言う事です。

 
 
 

最新記事

すべて表示
方策1 シェアリング・プラットフォーム ネオ生業の時代 ⑦

【内容】 第一要件としてのシェアリング シェアリングの有効性 シェアリングの活用事例     1.第一要件としてのシェアリング ネオ生業は「遊び仕事」ですから、収益性は高くなく、通常の商業施設のテナント賃料を払えるわけがありません。...

 
 
 
基本方針 ネオ生業の時代 ⑥

【内容】 これまでの論点整理 プラットフォームの重要性と特性 ネオ生業プラットフォームの3方策     1.これまでの論点整理 組織社会の仕組みがますます巨大化・複雑化する中で、昔ながらの地縁も、昭和的な社縁もなくなり、根なし草状態の都市住民。...

 
 
 
推進のための課題 ネオ生業の時代 ⑤

「後ろめたさ」からの卒業 「日本的な謙虚さ」からの卒業 ベンチマークとしての「キッチンカープラットフォーム」     1.「後ろめたさ」からの卒業 日本人が副業としてネオ生業を始めるのに後ろめたさを感じる理由は、主に企業文化や社会的な価値観に根ざしています。...

 
 
 

Comentários


bottom of page