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「築地」の課題 築地アップデート ④

執筆者の写真: adminadmin

更新日:2024年9月12日

【内容】

  1. オーバーツーリズムに伴う「老舗専門店の疲弊改善」

  2. 午後3時以降の「賑わい時間の延長」

  3. そして築地再開発との連携

 

 

 「インバウンド客でごった返す『築地』に課題なんてあるの?」と、私も最初はそう思っていました。

観光庁関連の助成事業に応募しても、「『築地』は全然困っていないでしょう」と、採用されないことが多いと担当者がこぼしていました。

しかし、解像度を上げて「築地」を見てみると、かなり危機的な状況が浮かび上がってきます。

1.オーバーツーリズムに伴う「老舗専門店の疲弊改善」

インバウンドの回復に伴い「築地」は、朝から大勢の観光客で溢れるオーバーツーリズム状態になっています。

ただ現状では、観光客向けの飲食店が爆売れしている反面で、築地を支えてきた老舗専門物販店の営業には、大きな弊害が出ているのです。

まず観光客向けの飲食店の前の行列が伸びてしまい、老舗専門物販店に買出し人など常連客達が近寄れません。

また歩行者が歩道だけでなく車道にまで溢れ出しているため、車が通れず食材の配送が遅延してしまっています。

さらに物販店の前や波除神社前に、無関係な人達が屯するため、商売や活動の邪魔になっています。

「築地」は前述したように「観光地」である前に、日本橋・銀座・新橋をはじめとする都心東部の飲食店の、買出し人に仲卸する「流通業務地」なのです。

「築地」の根幹機能であり、特徴でもある「老舗専門物販店」が、商売できず苦境に立たされているのです。

「築地」の未来を語るには、まず「築地」を支えてきた「老舗専門物販店の疲弊改善」が不可欠といえます。

 

2.午後3時以降の「賑わい時間の延長」

仲卸業を本来業務とする「築地」の主要業務時間は、午前5時〜午後2時になっています。

ですから早朝からお昼にかけては大変賑わう反面、午後3時には大半の物販店は閉まってしまい、一般的な観光・集客施設が賑わう夕方から夜にかけては、シャッターが閉じた街並みになってしまいます。

また日曜・休日の営業もありません。

観光客に人気の他の有名市場と比較すると、

  1. 上野アメ横:午前10時〜午後8時

  2. 大阪黒門市場:午前8時〜午後5時30分

  3. 京都錦市場:午前9時〜午後5時

  4. 金沢近江町市場:午前9時〜午後5時 ※いずれも例外店舗あり

「築地(場外市場)」の午前5時〜午後2時という営業時間が、一般的な(消費者向け)市場とは大きく異なることがわかります。

さらに営業時間が午前11時〜午後10時という通常の飲食店とはほとんど重なりがありません。※飲食店の買出し先としての役割を踏まえると当然です。

「築地」で働く人たちは、業務終了後に別のスーパーマーケットに行って、夕食の食材を調達して帰るという「寂しい」状況です。

後述する「築地再開発」との連携を図るためにも、「賑わい時間の延長」を検討する必要があります。

 

3.そして築地再開発との連携

築地市場跡地の再開発は、都心最後の巨大開発と言われています。

2024年3月に事業者も決定し、2032年には大部分の施設を完成させる予定になっています。

敷地面積約19haと、六本木ヒルズの2倍以上の敷地に、野球、サッカーなどのスポーツから、コンサートまで多彩な大規模イベントに対応する5万人規模の多機能スタジアムを中心に117万m2のオフィス、商業、ホテル、住宅などの複合施設が計画されています。

六本木ヒルズの年間来街者数が約4000万人と言われますので、それを凌ぐ集客力になります。

銀座方面からのメインアプローチには「築地」があり、無関係ではいられません。

1日あたり10万人を超え、現状の「築地」の来街者数が2万人程度と言われますから、新たに強烈な人流が生まれることになります。

また、40〜50階建ての超高層ビル群やスタジアムなどの「巨大建造物」が、場外市場の雑然とした街並みに隣接して開発されるのです。

この「築地再開発」と、どのように補完・連携していくのかは、非常に大きな課題です。

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