【内容】
チーム&リーグ方式の知恵
都市のコンテンツリーグ化
集客ビジネスからコンテンツビジネスへ
1.チーム&リーグ方式の知恵
よく「まちづくり」の現場から「街の情報発信が不足している」という課題を耳にしますが、聞く度に相対評価ができていないと感じます。
年間広告費に約5,000億円をかけるトヨタ自動車を筆頭に、各企業が膨大なコストをかけてハイレベルのコンテンツが発信されているのが「情報洪水」の現状です。
個人のこだわりや手法を羅列して発信するだけでは、どれほど大量に情報発信したとしても、他の担い手との違いも分からずネタ切れし、効果が現れないのは当然なのです。
【個の魅力はグルーピングして見える化】する必要があるのです。
サッカーを例に取ると、もちろんロナウドやメッシのようなスーパースターは別格ですが、一般的には「個」ではなく「チーム」で認識され、ファンが付きます。
さらには「リーグ」としてのグルーピングする事により、マスメディアが配信する対象として取り上げられ存在感と価値が見える化しています。
野球やサッカーだけでなく、バスケットボールやバレーボール、卓球からダンス、麻雀まである「チーム&リーグ方式」は、プロとして稼ぐための知恵なのだと考えます。
2.都市のコンテンツ・リーグ化
このビジネスモデルが 都市開発の参考になると考えます。
各都市の特性に合わせた「遊・文化」テーマ(食、音楽・ダンス、アート、マンガ・アニメ、ゲームなど)で、まず複数の担い手有志のチームを作ります。
そのチーム同士がリーグ戦形式で定期的に対戦を続けていくのです。
プロ野球やサッカーなどの例に明らかなように、トーナメント形式ではなくリーグ戦形式であれば定期的&継続的にコンテンツとしてオンライン上でも発信可能です。
オンラインコンテンツとして発信し続けることで、リーグ&チームのファンを育み、その対戦風景をフックにして、チームでの取り組みやさらプレイヤー個人のこだわりや個性に落とし込んでいくことで、個人の活動への理解と協力機会が、増えていくのではないでしょうか。
オンライン上でさまざまな体験・共感を経たファンが、より上質なリアル体験を求めても不思議ではないでしょう。
贔屓のチームとの特別な交流イベント、好きなプレイヤーとのリアル対面パーティなどの上質なリアル体験は、非常に高い付加価値を生むと考えます。
3.集客ビジネスからコンテンツビジネスへ
都市の独自テーマでリーグ戦形式の対戦が定着すれば、よりスキルアップするためにチーム内での協力、教育、共同研究が促されるのではないでしょうか?
さらにアートやテクノロジーなど他分野との連携による研鑽も進むと考えられます。
各都市の特性や潜在力を踏まえたテーマによる「コンテンツ・リーグ」は、都市の文化的魅力を顕在化しファンを育むとともに、文化資産としてオンライン上にストックされていきます。
国際的にも評価の高い日本のコンテンツをリーグ化すれば、グローバルからのアクセスも期待できます。
プロサッカーはリーグ戦形式で試合を繰り返し、継続的なコンテンツとして認知・定着させています。
さらに試合内の様々なコンテンツを名勝負集や、ゴール場面集などに再編集したり、ベンチ裏の様子や選手インタビューなどの追加・スピンアウトしたコンテンツに加工する事で、資産としての魅力を膨らませていくのです。
サッカークラブの収益は①チケット収入②広告スポンサー収入③放映権収入(+物販収入)に大別されます。
Jリーグでは①チケット収入の比率が大きいのですが、最先端とされる欧州のサッカークラブでは③放映権収入が過半を占めています。
さらに彼らはスタジアムの観客チケット収入を柱とした「集客ビジネス」ではなく、コンテンツをストックし、有償提供する「コンテンツビジネス」を標榜しており、ブランドビジネスも視野に入れていると言います。
今後の都市開発では、リアルな観光・集客によって「量」を求めるだけでなく、オンライン1stでコンテンツの「質」を高め、ファンを育み価値化を図る戦略が必要なのではないでしょうか?
Comments