【内容】
1.日本のお祭り
2.お祭りの構造
3.お祭りの要素
1.日本のお祭り
「お祭り」とは、本来「神を祀(まつ)る」と言う「神様に感謝すること」を指します。
神の霊力の活性化や鎮魂によって、豊穣祈願や収穫感謝をはじめ、雨乞いや災厄防除を願ったり、先祖供養など、さまざまな目的があります。
お祭りの様式も、神輿や山車、太鼓台などの引き物や、祭囃子や巫女舞、神楽などの歌舞音曲が奉納されたり、盆踊りや阿波踊りなど、時代や地域によって、さまざまです。
さらに本来の神社や寺院が主体になるお祭りだけでなく、「ひな祭り」や「端午の節句」「七夕」など、日々の暮らしや、四季、文化的な催したり、戦後は地域や学校の行事まで、様々なお祭りが発展してきました。
「日本列島では常にどこかで、お祭りがおこなわれている」状況です。
2.お祭りの構造
神社のお祭りは「祭事・祭礼」が総称となり、「神事」と「神賑(かみにぎわい)」とで構成されています。
宮司などの神職が、祝詞を奏上する行事を「神事」とし、氏子など主体になってお囃子、踊りなどを奉納する行事を「神賑」とされています。
コロナ禍で「お祭りが中止」と言われましたが、神職による「神事」は続けられていたので、「大幅縮小」と言う表現が正確です。
古来からお祭りは、庶民が「ハレ」の機会を楽しみにして、「ケ」の日常を生きる活力の源になってきました。
ですから時代とともに、「神賑」が大きく派手になっていくのですが、「神事」が形骸化して、お祭りの意味が共有されなくなると、単なるイベントと変わりのない「神賑」だけのお祭りになってしまいます。
3.お祭りの要素
「御神輿」は、神が乗り、地域を巡り、災厄や穢れを清める行為です。山車や太鼓台も同様の要素です。
「盆踊り」は、平安時代に始まった「念仏踊り」がルーツだと言われます。
仏教を庶民に広めるために、念仏を踊りながら唱えていたものが、先祖を供養するための「霊鎮め(たましずめ)」の儀式と合わさって、定着しました。「秋田の西馬音内(にしもない)の盆踊り」、「岐阜の郡上おどり」、「徳島の阿波踊り」を「日本三大盆踊り」と言われます。
「花火」は、日本には元寇の蒙古襲来の際に、武器として火薬が持ち込まれました。一般に花火が鑑賞されるようになったのは江戸時代で、八代将軍吉宗が「川開きに際して、慰霊と悪疫退散を祈って水神祭を行い、花火が打ち上げられました。
神聖な火の力で、慰霊・鎮魂する意味があり、「球状」「多色」など、日本人の持つ繊細さと美意識が反映されています。
日本3大花火大会と言われるのが、秋田県大仙市の「全国花火競技大会(大曲の花火)」、茨城県土浦市の「土浦全国花火競技会」、新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」です。
「神事」と対になった「神賑」としてのルーツを踏まえた、お祭りのあり方を検討すべきだと考えます。
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