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アートの本質的価値と効用:アート街づくり ⑩

【内容】

  1. アートの効用に関する視点

  2. アートパワー@ビジネスパーソンの必要性

  3. アートの本質的価値



1.アートの効用に関する視点

一般的に街づくりにおけるアートプロジェクトの効用として、下記の5点が挙げられます。

  1. 地域の魅力と課題の可視化

  2. 地域街づくりへの参加のきっかけ

  3. ネットワークの形成メディア

  4. コミュニティ・サポーターの炙り出し

  5. 地域性議論のきっかけ


これまで街づくりで語られる「効用」は、「それで、どうなるの?」という疑問が残ります。

一方で「アート思考」を提唱して、電通の美術回路プロジェクトが編集した「アート・イン・ビジネス(2019年有斐閣)」では、ビジネスにおけるアートの導入効果として、下記の4点が挙げられています。

  1. ブランディング:アート作品とは、ものとしての機能的な価値ではなく、意味や解釈が詰まった象徴的な存在であり、究極のブランドです。このアートの持つ価値を活用して、商品や企業ブランドイメージの刷新や付加価値を高めることが可能です。

  2. イノベーション:アートには、前提を疑ってみる問題提起力や、見えにくいものを具体化する想像力が、備わっています。既存の枠組みを取り払うアートの力をビジネスパーソンが内在化することで、イノベーションを起こしていくことが可能になります。

  3. 組織活性化:アートには鑑賞者と作品との対話によって、感性を高める効果や、現状の制約条件に屈せず実践していこうという自律性が備わっています。そうしたパワーを活用することで、自立性を高め、自らの意思で動く組織構成員が増える可能性があります。

  4. ビジョン構想:アーティストには、まだ見えない何かを形にしたり、それに向かって実践していこうという能力が備わっています。新しい事業が生まれ、社会がどのようになるのか、そして未来がどうなっていくのかを構想することが可能になります。


都市部におけるアート街づくりに説得力を持つのは、こちらのアート思考的な視点では無いでしょうか?


2.アートパワー@ビジネスパーソンの必要性

アーティストとは、未来の問題を先んじて、感じ取り、可視化してくれる「カナリアであり翻訳者的な存在」とも言われます。

アーティストは、自分自身への眼差しと、社会への眼差しの二つの問題提起の視点を通じて、これまで見たことも無かった着眼点で作品を通じて、世にその想像力の産物を問いかけ、批判や孤独と戦いながら、自分を信じて制約条件を乗り越えて、アート政策を実践していきます。

これはスタートアップのプロセスそのものになります。

まず自分は何をしたいのかを深く掘り下げ、やりたいことと社会にとって必要なこととをつなげて「世の中こうあるべき」という問題提起を行います。世の中にない概念を創造的に想像し、生み出そうと四苦八苦します。

そしていろいろな制約条件に悩まされながら、(資金調達、人材育成、法改正など)自分がやるべきことを粛々と主体的にやり続ける実践力があり、社内(経営陣、従業員)はもちろん、社外(株主、取引先、ユーザー競合他社など)の様々なステークホルダー、さらには社会全体と相互に関わる共創力もあります。

アーティストもスタートアップも、元は社会に問題を感じ、深く想像を巡らせ、いろいろな苦労を伴いながら実践し、その結果としてあらゆる人たちと共創しています。

「ビジネスにアートを取り入れる」または「アートとビジネスを結びつける」というよりも「ビジネスパーソンにアートパワーを取り入れること」にこそ、意味が有るのでは無いでしょうか。


3.アートの本質的価値

これまでの検討をまとめると、人が生きていく上で、これまでになかった「何か」を作る事がアートだと言えます。

先入観からの解放された生活の中の発見こそアートなのです。

アートにおいて「表現」とは結果で、その本質は「発見」にあります。

アートの本質である、日常における「発見」とは、人類の進化そのものなのです。

まさに、進化するための「心の基礎体力」がアートだと言えます。


コロナ禍において「不要不急では無い文化芸術は、必要なのか?」という意見が、高まったことがありました。

アートが無ければ、たとえ生き長らえたとしても、「人類に進化は無い」ということでは無いでしょうか? 

この様な視点と価値観で、アート街づくりを目指していくべきだと考えます。

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