【内容】
大阪城公園の挑戦
都心エリアでの展開
シン・エリアマネジメント
1.大阪城公園の挑戦
独自の公園運営ノウハウで、集客・事業成果を上げているのが、大阪城公園です。
近年、各地の公園で採用される「パークPFI事業」ではなく、より幅広い運営権限が与えられた「PMO (パーク・マネジメント・オーガニゼーション)事業」になりますが、それまでの公園管理コストを賄った上で、年間3億円程度の賃借料を支払っています。
大阪城への来場者数も、100万人程度(2005年)からコロナ禍前の2019年には年間250万人超という大幅な伸びを示しています。
ホールやレストランの整備や様々なイベント開催など、民間ならではの運営ノウハウで、大阪の観光名所として再生したのです。
大阪城公園以外にも、大阪市では、天王寺公園の「てんしば」でも同様の運営形態で、集客及び事業成果を上げており、都心の公園運営のモデルケースと言えると思います。
2.都市エリアでの展開
このような運営方式を、都市の公園だけでなく、公開空地や道路を含めた、オープンスペースに展開できないでしょうか。
国交省では「2040年道路の景色が変わる」という構想を提示し、交通量の少ない時間帯を利用して、路肩空間(カーブサイド)にフードトラックなどが停車し、営業できるようなイメージで利活用が模索されています。
これを前提に建物低層部も路面店を計画するようになると、これまでは自動車中心であった幹線道路沿いが、ゆったりした歩道を挟んで建物路面店とフード&ショップトラックが並ぶ賑わい街路に変貌します。
利活用時間は限定されますので、固い建物の「不動産」ではなく、変化・移動できる「可動産」と言う新しい事業領域が生まれます。
このようなオープンスペース面積は、西新宿エリアだけでも、「約45ha(東京ドーム10個分)」もあります。
東京都23区の道路面積を合わせると「100㎢」と言う膨大な面積になり、その5%でも活用できると「5㎢(東京ドーム100個分)の可動産」が生まれる計算になります。
まさに東京の風景を一変させるインパクトを持つのです。
人通りの大小や季節、時間によって入れ替わり、街に変化と彩りをもたらす非常に魅力的な街づくりアイテムになると考えます。
道路だけでなく、公園・広場や駐車場で定期的な「可動産」マーケットとして定着すると、さまざまな表現・交流を促す街づくり施策として非常に可能性を感じます。
3.「シン・エリアマネジメント」
都市再生特区を中心に、都市開発に伴う街づくり方策として、エリアマネジメントという考え方が浸透しました。
ただ現状では、賑わいづくりを中心に、イベント開催や情報発信に終始し、「イベント屋さん」と揶揄されている状況です。
海外における先進事例とされる、欧米都市におけるBIDは、公共性に配慮した運営計画のもとで、公共スペースの運営権限を持つ組織としての役割を持っています。
先に例示した「大阪城公園」のように、公共性に配慮しながら、民間の運営ノウハウを生かして、都市のオープンスペースをマネジメントできないでしょうか。
もちろん全ての場所で可能だとは思いませんが、都市の公園・公開空地・道路の管理コストの軽減と、賑わい創出の両立が可能になると考えます。
「マネジメント」の本来の意味は、「管理」ではなく「経営」のはずです。
都市のオープンスペースにおける「賃借料収入」を元にして、街全体の価値を高めるのが、本来のエリアマネジメントの姿(=シン・エリアマネジメント)だと考えます。
「エリア PFI」とは「会社」による「都市(の一部)」の経営方策です。
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