【内容】
オフィスの量的拡大
オフィスワークの質的変化
テレワークの定着とシェアオフィスの有効性
1.オフィスの量的拡大
戦後日本の産業構造は経済成長とともに、第一次産業から第二次産業、そして第三次産業へとシフトしてきました。
産業構造のシフトに加えて、都心部の産業集積、地方からの人口流入や女性の社会進出などが相まって、オフィスワーカーは増加の一途を辿ってきました。
そしてその受け皿としてのオフィス整備が進められてきたのです。
1980年代後半になると、バブル期の土地活用策として、中小規模のオフィスビルが急増します。
さらに不動産証券化市場が整備され、2002年に施行された都市再生特別措置法によって、容積率の緩和などが行われると、不動産ディベロッパーだけでなく、商社や生保・損保、不動産ファンドなど様々なプレイヤーが参入し、ハイスペックの大型ビルが次々と開発されることになります。
大型都市開発などに伴うオフィスの大量供給によって、需給悪化が懸念さらながらも、オフィスマーケットは量的拡大を続けてきたのです。
2.オフィスワークの質的変化
高度成長期の日本のオフィスは、主役である第二次産業の後方業務を行う、「事務処理の場」という位置付けがほとんどでした。
組織図をそのまま再現したような、島型のデスクレイアウトが中心で、オフィス環境の改善にはまだ目が向いていませんでした。
1980年代後半には、PCの登場で、事務処理能力が大幅に改善しました。
バブル崩壊後は、コスト削減と組織変更に対して柔軟に対応するようになり、オフィスのデザインも多様化していきます。
2000年代以降は、企業の存続のためには、オフィスは事務処理作業ではなく、情報創造業務の場となり、よりクリエイティブな人材を採用し、次々とイノベーションを起こしていくことが重要になってきます。
ITインフラの普及とともに、オフィスもフリーアドレスタイプのデスクが主流となり、日常的に席を選ぶことによって、メンバー同士のコミュにテーションを生む工夫が促されるようになります。
3.テレワークの定着とシェアオフィスの有効性
コロナ禍を経てオンライン会議が定着し、週3〜4日出社のハイブリッド勤務がニューノーマルになりつつあります。
オフィスワーカーたちは、「どこででも仕事ができる」という体験と、「移動の無駄」を実感したのです。
いわゆる事務作業であれば、自宅或いは地元のシェアオフィスで十分ワークできる状況になりますし、イノベーションを起こすには、社内だけではなく外部人材とのコラボレーションが重要になってきます。
プロジェクトごとに、社内外の人材が集まって、グループワークを進めていくには、セキュリティの厳しい企業オフィスよりも、外部のシェアオフィスの方が利用しやすいという状況も生まれてきます。
商品・サービスの賞味期限が短くなる中で、企業が収益をあげ成長を継続していくためには、情報創造業務における「対話」が不可欠になってきています。
日本の企業オフィスの会議のほとんどは「情報共有・承認系」であるため、敢えて情報創造のための「対話の生まれる場」を別途設置していく必要があるのです。
自分の考えを巡らせた上で、対等な立場で他者の考えを重ね合わせて、思考を前進させる「対話」を生むには、リビングルームのような「心理的安心感」が不可欠で、そのための「出島」のような役割のシェアオフィスが求められているのです。3.
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