街ぎわプレイス活用のもう一つの課題は、「民」の事情における「事業バランス」です。都心部の路面は、高い賃料でテナントに貸せる場所が多いため、路面店利用されている場合がほとんどです。銀座や表参道などの一等地は月坪10万円を超える賃料も珍しく有りません。「パーソナルな表現と交流の舞台」としての活用は、事業性に乏しいため一般店舗の賃料負担能力に太刀打ちできません。かといって人通りの少ない場所では、集客力も弱いため中々機能できない状況です。都市部において「パサージュ」的な場所が見つかると可能性が高まります。有楽町エリアでは「スリットパーク」として計画されていますが、ビルとビルの間の路地的なスペースにコンテナやキッチンカーを持ち込み、イノベーショナルな環境を作り出す試みをしています。抜け道的なパサージュは非常に分かりやすいですが、鉄道高架下や駐車場などの活用も検討可能です。「都市のスキマ空間」をいかに発見・発掘できるかが鍵と言えます。「パーソナルな表現と交流」を誘発するには、飲食サービスが有効なのですが、メニューのバリエーションを揃え、集客や居心地を生み出すためには、単独ではなく屋台村のように一定の集積が必要なってきます。大儲けを目指す訳ではないですが、事業の継続性を維持するために飲食サービスが集積して来ると、今度はビル内に入居している既存飲食店の営業を妨害しないように、配慮・調整する必要が出てきます。六本木ヒルズなど複合都市開発が、サマーイベントで屋台を設営する際には、まず施設内の飲食テナントに声がけして優先的に出店できるようにするなどの配慮を忘れません。このように街ぎわプレイスの活用には、事業のバランス感覚と相当の調整・手間が必要になってきます。何にための活用なのか?そのためのリスクとリターンとをしっかりと見極めておくことが重要です。単なる賑わいづくりや出店収益以外の、自分表現や相互コミュニケーションの誘発などのゴールに合わせたプログラムを想定して事業推進いくことが求められるのです。
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