【内容】
Ⅰ 鳥取県立博物館
Ⅱ 滋賀県 東近江「森の文化博物館(構想)」
【Ⅰ.鳥取県立博物館】
概要と課題
鳥取県立博物館は、鳥取市街の中心地の鳥取城跡公園内に位置し、周囲には鳥取城跡や洋館の仁風閣などの観光スポットがあります。
総合博物館でしたが、2025年に美術部門を、県立美術館として分離させるため、鳥取県に関する歴史と自然をテーマにした展示をおこなっています。
特別天然記念物の「オオサンショウウオ」の飼育展示が特徴になっている他、鳥取の食材を利用したレストランは評価が高く、結婚式の二次会利用の実績もあります。
6万人以上を集めた「ティラノサウルス展(2022年)」のような人気企画展などもありますが、平均年間来館者11万人のほとんどが、学校利用などの低料金での入館で、運営費の9割が、鳥取県からの助成金で賄われている状況です。
史跡公園内の建築であるため増築などは難しく、美術部門跡のリニューアルを中心とした、魅力化方策が求められています。
基本方針
展示物が大きく変わる訳ではありませんから。入場料の引き上げは難しい状況です。
事業性を向上させるには、観光回遊拠点として、集客・収益化を図って行ってはどうでしょうか。
「博物館」というと観光目的での回遊利用のハードルが高いので、例えば京都水族館でも人気の「オオサンショウウオ」を生かしてみるのです。
※他にも「城郭の博物館」としてマニアの評価が高い「鳥取城」のテーマ化も検討可能です。
サンショウウオの英語名を活かして「サラマンダーパーク」として、観光アピールします。カフェや空間演出、グッズ開発やイベント開催・キャンペーンなどで、質の高いレストランと合わせて、観光客の回遊拠点として活用してもらうのです。これらの施策によって、休憩・食事及び土産物購買など、観光関連消費による収益向上が可能だと考えます。
一方で、県民の共感・愛着を深める施設として、「鳥取学センター」を設置してはどうでしょうか。
現状のように単に「鳥取」について学ぶだけでなく、「鳥取に関するヒト・モノ・情報」を集め、編集するのです。
イメージとしては、渋谷の街を丸ごとキャンパスに見立てた「シブヤ大学」に近いかも知れません。
このような地道な活動で、県民の共感と愛着とが得られれば、企業スポンサードの可能性が広がります。
ただいずれにしても、現状の閉鎖的な建物イメージを払拭する外観リニューアルが必要だと考えます。
【Ⅱ 滋賀県 東近江「森の文化博物館(構想)」】
概要と現状
ケーススタディの4つ目は、滋賀県東近江市の山里で構想されている「森の文化博物館」です。
東近江市の山里は、「ろくろ」を使って盆や椀を製作する木工職人である「木地師のふるさと」で、これに因んだ「森の文化博物館」を建設しようというものです。
市街地からも遠く、最寄りの高速道路インターチェンジからも40分ほどかかる当該地では、博物館だけでの集客が難しいため、どのような関連施設を一体整備すればよいかを検討している段階です。
基本方針
近江地方は、米どころ、茶どころであり、日本三大和牛の「近江牛」の産地でもあります。
豊かな自然や恵まれた食文化という魅力を備えています。
さらに当該地の近隣には、年間35万人を集め滋賀県No. 1の人気の「道の駅:奥永源寺渓流の里」が有ります。
単なる博物館ではなく、体験施設や宿泊施設などを併設した「森を楽しむ文化時間消費施設」としての整備が有効だと考えます。
周辺のキャンプ施設からの利用も想定した「森林セラピー」や「クラフト工房」などの「森を活かした文化体験環境」が魅力的ですし、宿泊・滞在に対応するため森の中のドームテントやサウナなど「森を活かした宿泊環境」も事業可能性があると考えます。
このような施設と「博物館」とが一体となって、「滞在型の森の文化体験ミュージアム」として、検討していくことが有効です。
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