top of page
検索
  • 執筆者の写真admin

コンセプト再考 ⑦ 街ぎわプレイスの3レイヤー

都市開発において非常に重要な役割を担う低層部の「街ぎわプレイス」ですが、通常は総合設計制度などを活用するために公開空地として計画されます。

営利利用が認められない為に、ビル風が吹き抜ける寒々しい公開空地がほとんどではないでしょうか。最近になって、公開空地のあり方について議論され始め、ランチタイムにキッチンカーが営業していたり、外向きのカフェが設けられる事例も見られますが、その場所をどのように活用するのか?について、企画・構想コンセプトから丁寧に検討された事例は、非常に少ないのが現状です。

「街ぎわプレイス」とは、当該建物の低層部から公開空地などの外構部、さらには街路や対面建物を含む部分を指します。

前述したように、コロナ禍を経て「リアルな都市の価値」が問われる社会環境になりました。日常的な活動舞台として、そして企業の経営資源として、「街ぎわプレイス」は非常に重要な役割を担う場所と言えます。その場所では、「不特定多数の人を集めるイベント広場的な利用が求められるのか?」あるいは「建物ユーザーを中心としたコミュニティ醸成の場として利用されるのか?」など、事業主体が企画・構想コンセプトとして設定した方向性に基づいて、利用対象と利用目的に対応した与件として、建築設計者に手渡すべきだと考えます。

街ぎわプレイスのあり方を検討するために、第1レイヤー:アクティビティレイヤー/ 第2レイヤー:MD・施設レイヤー/第3レイヤー:建築・環境レイヤー の3つのレイヤーで分析します。

基本的には第1レイヤーを実現するための要素として、第2第3レイヤーを計画することになります。

近年は国交省系の国土技術政策総合研究所などが「広場づくりのコツ」について、丁寧なガイドブックを作成しています。回遊核としての位置どりや、周縁、アクセントの作り方などにも触れられていますが、幅広い人たちを対象にして、目的も賑わいづくりにおかれている為、一般的過ぎて、実用的では無いと考えます。

コロナ禍を踏まえたリアル都市の価値を高めるために、対象や目的に合わせた街ぎわプレイスづくりを設計与件として、提示すべきではないでしょうか。

都市の街ぎわプレイスにおける第1レイヤーのアクティビティでは、「クリエイティブの誘発」が求められると想定します。そのためには、どんな人たちが、どんな活動をしている状況が望ましいのか?を想定する必要があります。

第2レイヤーでは、そのアクティビティを促すためには、どのような商業や施設・サービスが提供される必要があるのか?を想定します。

第3レイヤーでは、想定アクティビティを促し、想定する施設・サービスを提供するための建築・環境の配置や断面形状が対応します。

次回以降で詳細説明していきます。

最新記事

すべて表示

【内容】 1.提灯への名入れだけではダメ 2.ソフトバンクホークスのスポンサード事例 3.地縁+テーマによる企業の巻き込み 1.提灯への名入れだけではダメ お祭りへの企業協賛と言えば「提灯への名入れ」が一般的ですが、その理由は、「いままでが、こうだったから」のようです。 「地域の人たちの、地域の人たちによる、地域の人たちのためのお祭り」だった時代には、地域の一員として企業も負担してきたのでしょうが

【内容】 1.墨田区立川3丁目の奇跡 2.地域の再構築 3.「初心者1st」で組み上げ直す 1.墨田区立川3丁目の奇跡 廃れた「お祭り」を、「子ども」をきっかけにして復活させた事例があります。 20年以上前は、神輿の担ぎ手は同好会頼り、盆踊りは高齢者のカラオケ大会になってしまい、新しい担い手が寄り付かなかった「立川3丁目の夏祭り」は、地元の久保田健一さんの奮闘を中心に、蘇りました。 神輿の担ぎ手を

【内容】 1.これまでの振り返り 2.お祭りの構造を再考する 3.お祭りアップデートの方向性 1.これまでの振り返り ①全国に30万あるといわれる日本の「お祭り」は、2016年「山・鉾・屋台行事」,2021年「来訪神:仮面・仮装の神々」として、ユネスコ登録され注目を浴びます。華やかで参加性もあり、インバウンドにも人気な一方で、担い手不足などで、消滅の危機に瀕した祭りが多い状況です。 ②お祭りとは、

bottom of page