【内容】
コンセッションの応募主体の想定
コンセッションのステンストゴールの見極め
セールス視点の必要性
ハード面での「更なる」進化の必要性
1.コンセッションの応募主体の想定
文化施設のコンセッション事業を実施する際に、ほとんどの自治体が、どのような応募主体になるのかを、想定できていないのではないかを推察します。
都市部と地方とでは、企業の事業領域が異なりますし、文化施設の運営リスクの負担能力にも格差があります。
具体的には、都市部には都市開発系事業者である、「ゼネコン」や「ディベロッパー」「商社」に加えて、コンテンツ系事業者の「メディア企業」「音楽系企業」「ゲーム系企業」、さらにホールなどの施設運営企業など多彩な事業者が存在しますが、地方では、建設や内装などの施工系事業者と新聞社程度しか想定d系ません。
さらに運営リスクを負担できるとなると、事業規模が大きく、コンセッションに際して、施工収益が見込める建設系企業に絞られるのではないでしょうか。
ただし地方の建設系企業は、単独で文化施設を運営できないため、都市部のコンテンツ系企業や運営系企業との組み合わせが必要になってきます。
地方の小規模案件において、応募主体が自主的に協働組織を組み上げることは難しく、マッチングを促す仕組みが必要になります。
2.コンセッションのスタンスとゴールの見極め
これまでの検討で、「①美術館・博物館」と「②ホール・劇場」とでは、収益構造の大きな違いがある事が明らかになっています。
美術館・博物館は入場料収入に限界があるため、周辺関連施設での収益を加えても、なかなか黒字化は困難だと言えます。
ホール・劇場の場合は、積極的な営業による会場料の引き上げ、さらにシン自主公演の可能性など、多少事業化の道筋が見えてきます。
「文化施設としての価値とは何か?」という問いかけを踏まえた上で、どこまで「誓約を取り払い」、どのような「ゴール」を目指すのか?を見極めていく必要があります。
3.セールス視点の必要性
ケーススタディでの説明を踏まえて、「コンセッションを実施する文化施設の魅力」が、可視化できていないと実感しました。
施設概要や現況の説明にとどまり、「可能性と条件」が伝わってこないのです。
一般的な都市開発では、オフィスや店舗のテナントをセールスする際に、「どのようなマグネット機能や訴求ポイントがあるのか?」についてセールス資料を作成します。
一般的なテナントよりも、事業イメージが湧きにくい「文化施設のコンセッション」では、なおさら「セールス視点での資料作り」が必要だと考えます。
今回のケーススタディで妄想したような「収益アップ目論み試算」などの定時も有効だと考えます。
4.ハード面での「更なる」進化の必要性
成熟社会化に伴い生活者の要求は高度化し、「わざわざ出かけるのであれば、〇〇も、〇〇も楽しみたい」というニーズに対応した、複合ワンストップ体験の提供が基本になりつつあります。
わざわざ立地に孤立し、特定目的に特化していては、集客は望めない状況です。
かつて「野球を観戦できれば良かった野球場」が、「野球に加えて、温浴や遊園地など一日楽しめるボールパーク」に進化しているように、継続的な魅力化のためには、文化施設のハード面での複合化・進化が不可決だと考えます。
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