コロナ禍での外出自粛や非接触ニーズから、ネット通販の機会が増えたのではないでしょうか? 宅配便大手3社の2020年度の取扱個数は45億個に達し、19年度の40.3億個から、5億個近い増加になりました。リアルな商業施設は逆に2021年6月ではコロナ前の2019年同月比−23.5%(SC販売統計調査)で、特に都心部では−31.4%と厳しい数字を示しています。モノを買うためにワザワザ電車で移動したり、駐車場待ちの列に並ぶ手間を「無駄と考える」ことがすっかり定着しました。コロナ化に伴って3つの大きな価値シフトが生じたと認識しています。
2.集積・集客価値のシフトフト
リモートワーク体験を経て「オンラインでも仕事がこなせる」という認識がレガシー企業を含めて浸透しました。その結果「移動に伴うストレスと無駄」が顕在化し、都心部の人流が減少しました。これまで都市の基盤にあった「移動・交流の結節点としての価値」が大幅に減少すると考えます。都市には交通利便性だけではない求心力が求められる時代になります。
2.集積・集客価値のシフト
コロナ禍を経て「大量集客=不特定多数との密接」に対する違和感が残ると考えます。多くの人・モノ・情報を集積させる事によって、規模の合理性を生むという都市の価値が反転します。賑わい志向の商業施設が不安の対象になるかもしれません。顔の見える適度な規模のコミュニティに対する評価が高まると共に、コミュニティを支える役割と自覚が重視されるようになるのではないでしょうか。
3.一斉・一律価値のシフト
同様に朝夕の通勤ラッシュや昼の一斉ランチを始め、盆暮れの帰省ラッシュなどの一斉行動に対して、リスクと非合理性を痛感しているのではないでしょうか。独自の指針と判断による行動が、快適性と優位性を持つと認識された時代には自己裁量の増大とピークの平準化が進行すると考えます。
日本のEC化率(BtoC)を見てみると、2020年度は前年比21%で過去最高の伸びを示したものの、全体では約8.08%(2020年度)で、20%を超える米国や中国の1/3程度で、まだまだ伸長余地があります。買い物もオンライン1stの時代になり、これまで都市における賑わいの中心的存在であったリアルな商業施設の存在意義が問われています。オンライン1stを前提に今後の都市や商業施設のあり方を再定義していく必要があると考えます。
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