「食コンテンツ」はEC化が難しく、リアル施設のマグネットになる可能性を秘めていますが、会社帰りなど通勤の「ついで」立ち寄りではなく、「ワザワザ」来街する目的になる必要があります。単に美味しい料理を準備してお客を待っているだけでは難しく、ワザワザ外出して足を向けてくれるお客を作っていく必要のある「創客・誘客の時代」になった認識すべきです。オンライン上で個店を紹介する工夫も見られますが、各店の食材のこだわりや調理レシピなどを公開しても、似たり寄ったりで見分けもつかず、すぐにネタ切れになってしまいます。オンライン1stで創客・誘客につながる「食のコンテンツ化」の方策として「大学化=体系化」と「リーグ化=チーム対戦化」が想定されます。ここでは複数の飲食店がチームを作り、チーム同士がリーグ戦方式で料理対決していく方策を検討します。
まずビル全体や通りで近接する複数の飲食店有志で「チーム」を結成します。10店程度で1チームでしょうか。各チーム例えば3人の料理人を代表として、キッチンスタジオなどで季節の食材やテーマをもとに料理対決するのです。これをリーグ戦形式で繰り返しYou Tube配信を続けるわけです。「〇〇ビル飲食フロア」VS「〇〇横丁」という具合です。
トーナメント戦ではなくリーグ戦方式にすることで、プロ野球や Jリーグのように長期的・定期的に料理対決(=コンテンツ)を提供していくことが可能です。6チームあればリーグ戦形式で30試合可能です。毎週配信しても半年以上コンテンツとして提供が可能になります。1チーム10店から各対決に代表3人を選ぶ方式にすれば半年の間に1〜2度出場すれば良いだけで、個店の負担もそれほど重くないと考えます。毎回住民の代表者が審査員になって勝者を決めていくのですが、このコンテンツの継続的な配信を通じて、ファン・コミュニティが育まれるのではないでしょうか? プロ野球や Jリーグなどが、プレイヤー個人としてだけでは支援者が見つからなくても、同好の士が集まってチームを作り、役割分担しながら戦いを繰り返すから、ファンが育まれます。チーム同士が一定のルールの下に定期的にゲームを競うからリーグとして成立し、リーグになればスポンサーも獲得可能になります。同様の構造を飲食店連合で作っていくのです。
リーグ戦での奮闘・活躍をフックにして、個店の料理人にも目が向くようになると考えます。その上であればレシピ公開やオンライン料理教室、料理人の個性や趣味の発信、さらにはファンミーテングも有効になり、個店への創客・誘客につながります。
さらにチーム・リーグ形式のメリットがあります。料理対決に備えて、個店の枠を超えチーム共同での料理研究やレシピ開発が始まるかもしれません。共同での人材教育を通じたチーム力強化の機運が高まることも考えられます。飲食店だけでなくクリエイターや技術者など他分野の協力が得られればさらに魅力的です。
カフェカンパニー代表の楠本さんは、「一店舗だけ、或いは飲食店だけではなく、飲食業をアートやテクノロジーを含めた、都市のコンテンツとして考える必要がある」と指摘されました。これまで「オレの作る料理が一番」「ウチの店がNo. 1」などと個店思考の強かった飲食業界ですが、他店との連携が不可欠だと考えます。
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