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ミュージアム変革がつくる未来:文化施設 PPP ⑩

  1. 時代が求める「アート」の価値

  2. ミュージアムによる「静脈系の価値提供」

  3. ミュージアムが変わると都市も社会も変わる




1.時代が求めるアートの価値

「アート街づくり」において、人が生きていく上で、これまでになかった「何か?」を作る事がアートだと整理しました。

アートにおいて「表現」とは結果で、その本質は「発見」にあります。

アートの本質である、日常における「発見」とは、人類の進化そのものなのです。

まさに、進化するための「心の基礎体力」がアートだと言えます。

現代社会の根本ニーズが求める「何か?」がアートには潜んでいるのではないでしょうか?

経済活動だけ、損得勘定だけのドライな関係は、分かりやすいですが、ギスギスしてしまいます。

そして何より、コスト高な上に不安が付き纏います。

その将来不安は過度な防衛反応になり、現状維持思考で不寛容な社会につながります。

不安、コスト高、消費意欲の減退など、「現代日本の閉塞感」に対する対応策・処方箋が、「アートの拠点としてのミュージアム」の可能性ではないでしょうか。


2.ミュージアムによる「静脈系の価値提供」

現代都市は何でも、手に入るように見えながら、極めて消費経済・物質的な分野に限られています。

いわゆる「動脈系の価値提供」に、偏っていることがわかります。

「動脈系」一辺倒に対して、「静脈系」の価値提供で、バランスさせる事が、重要だと考えます。

静脈系の価値提供の仕組みは、動脈系事業のような利益追求型ではなく、共感・共創型の方策と親和性が高く、サスティナビリティやステイクホルダー重視の時代動向にも整合します。

都市におけるミュージアムは、「静脈系の価値提供」において、極めて高い潜在力を、秘めているのではないでしょうか。

養老先生が指摘した「都市と自然」「理屈と感覚」「脳と身体」が分断され、前者が後者を駆逐することで、「半分になってしまった世界を取り戻す」ことに繋がるのです。


3.ミュージアムが変わると、都市も社会も変わる

「静脈系の価値提供」が定着すると、都市に対して、「知縁」と「寛容」とが芽生えると考えます。

「動脈系だけの都市づくり」では、消費経済ルールに基づく、さまざまなカタチの「経営者と従業員」「店員と客」という舞台しかありませんでした。

お客という立場だけであれば、その要求水準はどんどんエスカレートしていきます。

しかしミュージアムでは、アートに関連して「静脈系の価値提供」が展開されます。

このミュージアムでの活動や交流が、仲間・共創という「知縁」を育み、結果やスペックだけではなく、プロセスや共感を通じて「寛容」を醸成します。

ミュージアムを中心として、「知縁」と「寛容」とが都市に根づけば、自分一人が「理屈・脳」で紡ぎ出す、妄想ストーリーに陥るのではなく、「人・モノ・自然と実感・交流を楽しむ価値観」が、定着していくのでは無いでしょうか。

宗教や哲学的には「生の意義は、他者との関わりを通じた進化にある」と言われます。

ミュージアムを「心の基礎体力」を高めるプラットフォームとして活用することで、「生の意義」を実感できる社会の構築が可能になります。

ミュージアムが変わると、都市も社会も変わるのです。

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