【内容】
1.公共スペースの法的な規制
2.「周囲の理解」という規制
3.粘り強い実施スタンスの必要性
1.公共スペースの法的な規制
公共スペースを活用する際に、道路の場合は「道路法」と「道路交通法」という法律で、それぞれの「禁止行為」「許可や免許などの手続き」について規制されています。
道路交通法第76条「何人も、交通の妨害となるような方法で物品をみだりに道路においてはならない」とあります。
具体的には歩道の真ん中にテーブル置くような行為は禁止されていますが、裏を返せば通行の邪魔にならないスペースであれば、テーブルを置くことは禁止されていないということになります。
道路法第32条でも、「他の人がその場所を使えない形で使う」ことを指す「占用行為」については許可が必要だと記載されていますが、一時的に道路を使う行為は占用行為の対象にならないという自治体もあることが分かります。
同様に公園の場合は都市公園法第12条で「頒布・販売行為、占用行為には許可が必要」とあります。
こちらもよく見ると、私的な個人利用、グループ利用と看做せる内容の行為であれば、許可不要と言う事になります。
またマルシェの開催などに関連する食品衛生法第52条では「飲食物を提供する際、営業許可が必要」とあります。
こちらでも、市販品やポップコーン、焼き芋などを販売する場合は許可不要、無料提供は許可不要という自治体もあります。
法律をよく読めば、問題ないやり方があることが分かりますから、「行為を制限」しているのは、私たち自身の思い込みの場合が多いようです。
2.「周囲の理解」という規制
日本の場合には、法律とは別にもう一つ気にしなければいけないのが、「対人関係(通報者)」です。
直接やり取りすることなく、当事者が知らない間に行政や警察に通報されてしまうことがあるのです。
公共スペースのルールは現認主義であるものが多いのですが、警察などは通報を受けると行為の中止を指導せざるを得なくなります。
実現を左右するのは「法律よりも周囲の理解」ということになります。
現代ニッポンは、自分が我慢している事を、我慢せず行動する人間に対して、非常に不寛容な社会になっています。
そんな「もやもやルール」に縛られて、つまらなくなっている最たるものが、屋外の公共スペースと言えます。
3.粘り強い実施スタンスの必要性
傍観者を通報者に変えてしまわないためには、地域の方々への入念な準備が必要です。
具体的には、早いうちから趣旨や概要説明を重ねておき、警察に予め目的や意義を伝え、問い合わせや通報があった際にも、電話越しにそのまま回答できる材料を提供しておくなどの対策が必要です。
公共スペースに対して定められているルールは「安全性の担保」と「秩序の維持」を目的にしています。
日本の場合は、公開空地で示したように、周囲の理解という点で、中間領域は公共スペースと看做されているようです。
行政や警察側にも「行為」ではなく「程度」で、声がけ基準が決まるようにしたいものです。中間領域(=公共スペース)の活用には、エリア限定、時間限定から始まる「小さな実績」をもとにして、ルールを少しずつ更新していく、粘り強い実施スタンスが必要だと言うことです。
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