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今なぜ「推し活」なのか 「推し活」文化 ①

【内容】

  1. 成熟社会でのモチベーション

  2. 広義の応援消費への注目

  3. 自分以外への投資

 

 1.成熟社会でのモチベーション

成熟ニッポンは、「失われた30年」と揶揄され、GDPは560兆円辺りを推移し、デフレが続き、給料も上がらない状況です。

高度成長期のように「3種の神器」やマイホームを買うために、モーレツに働いたり、バブル期のように夜中まで豪遊したりする元気もなくなっています。

今は、消費が一巡し、日々の暮らしで必要なものは揃ってしまい、特に必要な物も見つかりません。 

バブル経済の頃の熱狂は無くなりましたが、極端に貧しくなったという実感も無く、諦めも含めて「こんなものかな?」という空気感が漂っているのではないでしょうか?

これまで比較的人気だった海外旅行も、コロナ禍による行動変容もあり「わざわざ出かけるのも面倒」という気分で、戻りが鈍いようです。

そこそこの機能・スペックの商品・サービスが、手頃な値段で手に入るようになり、「日常がコモディティ化」したのが、成熟した日本社会です。

企業側は、そんな成熟社会の生活者に「消費のモチベーション」を持たせるために、あの手この手を工夫します。

「モノ」から「コト」へ、そして「トキ」、「イミ」へと、消費・マーケティングのキーワードが転換していきます。

 

 

2.「推し活」消費の台頭

「イミ」消費の一種で、「応援」や「推し活」と言われる消費が注目を集めています。

コロナ禍で、客足の途絶えた「飲食店」や、食材を供給する「農家」や「漁師」などを、支える意味を込めて購入したり、或いはアイドルグループの中で、自分の「推し」の娘の人気を支えるための購買などが、これに当たります。

「推し」とは、単に好きなだけではなく、人に勧めたいくらい気に入っている「モノ」「ヒト」の対象のことで、「推し」をする人がオタクです。

「推し活」の領域は、アイドル、アニメ、漫画、ゲーム、鉄道、歴史、メニュー 仏像など多岐に亘ります。

矢野経済研究所の調査では、アイドル市場に参加する推定人数は、361万人(2022年)で、一人当たりの年間消費額は93,700円に上るとされています。

アニメなどを含む、全26分野平均の年間消費額は、52,419円になっています。

またZ世代を対象にした別の調査では、「推し活」を「している」或いは「してみたい」人が6割に上っています。

「推し活」は、ニッチではなく、消費行動のメインストリームになりつつあるのです。

 

 

3.自分以外への投資

ここではオタクによる「推し活」や意識高い系の「応援消費」を合わせて「推し活」として検討します。

いずれも「他人を支援するための消費・活動を通じて、満足感を得る」という「イミ」消費です。

「自分以外への投資」とも言えます、長崎の「しっぽく」料理は、朱塗の大皿に数人分の料理を盛り付ける、豪華な「もてなし」料理です。

料理研究家が、自分一人のお腹を満たすためだけであれば、「美味しければ良い」のですが、大勢の他人をもてなすからこそ、彩りや盛り付けなど様々な工夫を施し、「文化として洗練していく」のだと言います。

自分のためだけではなく、他人を支えるため、自分以外への投資だからこそ、工夫を凝らして洗練させていくというのは、成熟文化の一面ではないでしょうか?

 

このように今シリーズでは、成熟社会を牽引する消費文化として「推し活」文化を取り上げます。

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