【内容】
1.「地方創生」の掛け声は上がるけれど。。
2.地方創生 待ったなし
3.定住人口から関係人口へ
1.「地方創生」の掛け声は上がるけれど。。。
2014年に「ひと・まち・しごと創生法」が施行されて以来、「地方創生」が叫ばれて久しくなります。
「地方創生」は、人口減少に歯止めをかけ、東京への一極集中を是正し、地方を活性化させるための政策です。
国の長期ビジョンとして「2060年に1億人程度の人口を維持する中長期展望」を提示し、そのための総合戦略として「2015〜2019年度(5カ年)の政策目標・施策」が策定されました。
国のビジョンや総合戦略を元に、各地方自治体でも「地方創生」に関する計画がまとめられ、様々な施策が実施されてきました。
しかし地方創生が始動した2014年以降も、人口減少に歯止めはかからず(むしろ拍車がかかる?)、コロナ禍を経ても東京への人口流入は、相変わらずという状況です。
2.「地方創生」 待ったなし
どうして地方創生が必要なのでしょうか?
このままの状況が続けば、2060年には日本の人口は9300万人程度まで減少し、そのうちの4割程度が東京圏に集中すると予想されます。
全体が減り、その上で人口が東京に流出するわけですから、地方を支える人口が不足します。具体的には、鉄道や道路、水道・ガス・電気などのインフラや生活利便施設の維持することが難しくなるのです。
JR北海道では、2014年に経営危機が表面化した後、2022年度まで9年連続で、全線区で営業赤字が続いています。
道内全体の営業係数は「272」と算出されています。
これは100円を稼ぐための経費が272円かかっているという状況です。
根室本線など3000円を超える路線もあり、代替交通への転換が急務になっています。
JR四国も同様に厳しく、比較的安定していると言われる本州の JR各社(東日本、東海、西日本)でも、ローカル路線の維持が難しくなっています。
生活利便施設についても、都市圏参考資料(国交省)によると、博物館や映画館、ショッピングセンターなどの「高度な都市サービス施設」が成立するには、10万人以上の都市である必要があるということです。
病院や介護施設、銀行、中学校など「基本的な都市サービス施設」を維持するには、人口1万人以上の都市が必要と、試算されています。
現状でも全国の1,718の市町村のうち、489団体(全体の27.4%)が、1万人以下となっています。
このまま人口減少と東京一極集中が進めば、地方自治体の維持が難しいことは明らかです。
まさしく「地方創生」は、待ったなしの状況です。
3.定住人口から関係人口へ
国交省は、2016年に「国土形成計画」を策定し、人口減少と超高齢社会とを前提にして、「対流促進型国土」を提唱し、既存の都道府県を超えて、全国を8ブロックに再編しています。
それまでの人口増加を前提とした均衡ある発展から、大きく舵を切ったのです。
2019年以降の地方創生では、定住人口の増大ではなく、「関係人口」を議論するようになっていますが、「関係人口」をどう増やすのか?については不明確なままです。
コロナ禍にともなうリモートワークの定着という、特殊要因を含めて、関係人口を基盤にした地方のあり方が求められています。
今回のシリーズでは、このような認識を元に、人口減少社会における地方創生は、どんなゴールを目指すべきなのか?を検討したいを思います。
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