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使い方と活用・効用 エリアクオリア指標の可能性と課題 ⑥

【内容】

  1. エリアクオリア指標の使い方イメージ

  2. エリアクオリア指標の活用と効用

 

 

 

1.エリアクオリア指標の使い方イメージ

エリアクオリア指標は前述の通り、人流データと口コミデータ、統計データとを組み合わせて総合評価しています。

街のファンを可視化する要素として、「リピート来街者数(人流データ)」を最重要視し、これと相関性のある「話題流通量(口コミデータ)」によって、情報発信力を計測するとともに、来街者の興味や目的などを把握します。

さらに、これらの活動の舞台となる文化・商業施設数や、継続性を担保する要素として経済・行政基盤、環境・多様性基盤などを位置付けています。

従来の都市指標が、商業施設や公園など街の構成要素の分析に偏っていたのに対して、成果としての人流、口コミを重視している点が、大きな特徴になります。

ですから、商業施設や図書館などを「整備して終わり」ではなく、その場所・街でさまざまなイベントやプログラムが実施され、それが「街の話題流通量」として還元されたり、その成果として繰り返し来街するファンが可視化されことで、評価が高くなる仕組みになっています。

ハード整備だけでなくソフト施策や街づくり活動の努力が反映される「総合的な街づくりカルテ」として機能します。

また街の話題流通量では分野ごとのキイワードの検出できますので、イベントの効果、街づくりテーマの有効性も可視化可能です。

隔年で定期的に計測することで街づくりの方向性の検証や効果測定が可能になります。

 

2.エリアクオリア指標の活用と効用

エリアクオリア指標を活用することによって、以下の4つの効用が期待されます。

1.次世代の来街者調査

エリアクオリア指標は、「街づくりのカルテ」ですが、来街者調査としても活用可能です。

従来の来街者調査は、特定の平日・休日に、対象エリアの要所に係員を配置して、来街者をカウントし、そのうちの何人かにアンケートを行うと言う精度の低い手法でした。

人流データと口コミデータを活用することによって、時間別来街者数、性別・年齢、どこから来たのか、何に興味を持っているのかなどが、網羅的に計測可能です。

2.街の個性・進化を相対的に可視化

エリアクオリア指標は、他の町と比較した時の当該エリアの特性や、経年的な進化を相対評価として可視化することが可能です。

従来の当該エリアの活動内容及び予算を記載するしか無かったエリマネ事業報告書に、総合性・客観性を担保することが可能です。

  1. 街の強みを抽出・可視化

エリアクオリア指標では、当該エリアに対する興味や来街目的を、街の強みキイワードとして、抽出することが可能です。

従来の来街者アンケートよりも、遥かに大きな母数での動向把握が可能になり、街のプロモーションへの活用や街づくり施策の参考データとして、非常に有効です。

  1. 街のファンの定量可視化

エリアクオリア指標は、「どんな嗜好を持つ人達が、どれくらい集まる街なのか?」を計測することで、街中での広告・宣伝のセールスツールとして活用可能です。

さらにプロモーション活動として非常に効果の高い「街まるごとハック」をインセンティブにした、「街のスポンサード」への布石になることが期待されます。

 

東京大学で街づくりを専攻される小泉秀樹教授は「これからの街づくりでは歴史性と真実性とが評価される」と指摘されました。

交通利便性や規模だけでなく、公園や水辺などの特別感のある立地特性を活かしたり、土地・建物の歴史を如何に深掘りして発信できるかが重視される時代と言えます。

エリアクオリア指標は、まさに時代が求める「街づくりの質」を可視化するカルテになると考えます。

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