国交省のガイドライン
交流・遊歩タウンづくりの視点
1.国交省のガイドライン
健康まちづくりの基点になっているのが、国交省が策定した「健康・医療・福祉の街づくりの推進ガイドライン(2014年)」です。
「健康・医療・福祉の街づくり」では、住み慣れた地域に市民が集い、暮らせるための良好な居住環境と合わせて、日常生活圏域において必要な都市機能(健康・医療・福祉・交流・商業・公共公益)を確保し、歩行空間、公共交通ネットワークの充実などを、一体的に取り組むことで、都市構造のコンパクト化を進めることを基本にしています。
必要な取り組みとして、以下の5項目で留意点が挙げられています。
1)住民の健康意識を高め、運動習慣を身につける
いわゆる健康への無関心層は、全体の半数に登ると言われます。公園や運動環境を整備した上で、様々なコミュニティの参加を促すことで、無関心層も巻き込んでいく必要があります。
2)コミュニティ活動への参加を高め、地域を支えるコミュニティ活動の活性化を図る
交流サロンなどの地域コミュニティ活動への参加を促すとともに、子育てサポートや高齢者世帯の見回りなどの役割を作り、高齢者の社会参加を促す取り組みが重要です。そのためには、多様な主体との連携やコミュニティビジネスの活用が有効です。
3)日常生活圏域(徒歩圏域)に都市機能を計画的に確保する
日常生活圏域において、地域包括ケアシステムの実現を図るため、医療・介護機能及び、自立した日常生活支援機能を整備することが望ましいとされています。
都市再生特別措置法を活用し、公的不動産の再編や民間事業者の立地支援などで具体化が模索されます。
4)街歩きを促す歩行空間を形成する
歩行者ネットワークの構築と、世代を超えた利用・交流、さらに歩行をサポートするモビリティ活用など、街歩きを促す仕掛けが求められています。
5)公共交通の利用環境を高める
住民が主体になった公共交通利用促進のための環境づくりと、それを踏まえた運行サービスの向上、バス停の上屋やベンチの設置などの待合空間の整備などが想定されます。
2.「交流・遊歩タウン」づくりの視点
健康な街づくりの必要性は、十分理解できますし、その方向性も間違っていないと思います。
ただ「健康」は、何かをするための「条件」、あるいは何かをした「成果」であり、健康そのものを街づくりの目的に掲げるのに違和感があるのは、私だけでしょうか。
施策内容についても、街なかにおける、「交流・関係の機会づくり」と「楽しく快適な歩行環境づくり」の2つに集約できると思います。
これらを踏まえると、健康まちづくりとは、「交流しながら、歩くことを楽しめるコンパクトな街=交流・遊歩タウン」づくりと言えるのではないでしょうか。
そしてその具体化に向けた提案例として、「①住まい:ソーシャル・アパート」「②拠点:福祉のコンビニ+α」「③働く:アーバン農福連携」「④街路:ヘルシーロード+AR」「⑤役割:健幸都市のアップデート」
などを想定します。以降の回で、個別に解説していきます。
Comentários