【内容】
高齢者の「健康長寿」を支える仕組みづくり
厚労省の動き
国交省の動き
1.エイジング・イン・プレイスの仕組みづくり
エイジング・イン・プレイスとは、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続ける」という考え方です。
第2の人生を積極的に楽しみたいけれど、退職後に地縁・社縁を含めた「生きがい」失ったまま高齢化、孤立化する人が多いと言う調査結果があります。
また車を保有しない人は外出率が20%減少し、バス停までの距離も外出頻度に影響するという報告もあります。
コミュニティのあり方や交通ネットワークのあり方などの見直しが必要なのです。
医療・介護費を抑えると共に、幸せな老いを実現するためには、病院だけ高齢者施設だけではなく、「地域全体の包括ケアシステム」として、まちづくりを考える必要があるということです。
国は、団塊世代が75歳以上になる2025年を地域包括ケアシステムの目標年次に示していますが、健康・医療・福祉の施策連携が実施されている自治体は、全体の1割程度と低い水準にとどまっている状況です。
健康・医療・福祉の連携によるまちづくりの推進が急務です。
2.厚労省の動き
健康まちづくりに関する国の動きは、まず厚労省から始まりました。
2000年に入り、厚労省が、「21世紀における国民健康づくり運動(通称:健康日本21)」を策定しました。
これは、急速な高齢化の進行と、痴呆や寝たきりになる人たちの増加を予想して、「介護保険制度」のスタートを合わせて作られた国民健康づくり運動の施策です。
この「健康日本21」は、2000〜2012第一次、2013〜2022第二次と継続していくのですが、生活習慣病の予防を目的として、早期発見・早期治療などの二次予防だけでなく、疾病の発生を防ぐ、一次予防での生活習慣の改善に重点を置くものになっています。
この中には、身体活動・運動、休養・心の健康づくりなどの数値目標も、掲げられています。
日常生活歩数を1日あたり1200―1500歩増やす
運動習慣者数を10%増やす
住民が運動しやすい街づくり
これらを元に、都道府県や各市町村レベルでも具体策の策定が要請されています。
3.国交省の動き
これに関連して国交省でも、2014年に「国土のグランドデザイン2050」を策定しました。人口減少と超高齢社会とを前提にして、「コンパクトシティ+ネットワーク」を掲げ、「居心地が良く、歩きたくなるまちなか」の創出を目指しています。
都市再生特別措置法を活用してウォーカブル空間の創出が推進され、300近い自治体(令和2年)がウォーカブル推進都市に指定されています。
都市政策の取り組みにあたっては、健康・医療・福祉の視点から、必要な事業や施策へと大きく舵を切っていく事が必要となり、同じく2014年には「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」が策定されました。
高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域で、その有する能力に応じて、自立した日常生活を送れるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の構築とまちづくりとの連携により、地域全体でエイジング・イン・プレイスを支えることを目指しています。
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