【内容】
農福連携の応用
6次産業化による効用
アーバン農福連携の可能性
1.農福連携の応用
農福連携とは、農業×福祉の取り組みで、「ニッポン一億総活躍プラン(2016年)」に盛り込まれました。障害者の社会参加と、農業人材の確保によって、共生社会の実現を目指しています。
【農業側のメリット】
労働力不足の解消 ②社会貢献によるQOL の向上 ③人と人との交流による地域活性化
【障害者側のメリット】
①障害者の作業能力を考慮した仕事設計が可能 ②自然の中に身を置くことによる身体的・精神的なプラス効果 ③社会コミュニティへの参加機会
この視点は高齢者施策にとっても、有効ではないでしょうか。
「タイパ」などと言われ、動画の倍速視聴などが話題になる昨今、都市の生活速度の加速傾向は強まる一方です。
速度が要求される、対人サービスは難しくても、作物や動物を相手にした一次産業系の仕事であれば、もう少しゆっくりした自分のペースで、作業できそうです。
健康まちづくりに、農福連携の応用が、有効だと考えます。
2.六次産業化による効用
都市近郊では、農福連携の有効な事例がいくつもあります。
京田辺市にある「さんさん山城」では、農業・加工・カフェなどの活動を通じて、障害者が地域とつながり、地域課題の解決に貢献しながら、地域に必要とされる存在になる「集う・つながる・働く」場づくりを目指しています。
現在5箇所70アールの遊休農地で、京都の伝統野菜や地域特産の宇治茶などを栽培・出荷しています。加工では、抹茶を使った濃茶大福やクッキー、エビ芋を使ったコロッケなどを作っています。カフェでは、旬の野菜を使ったランチが好評で、多様な来場客と障害のある人がつながる場になっています。
他にも福井県での農園+スーパーマーケットや、石川県の農園・牧場+地ビール工房、レストランなどユニークな事例も増えています。
農作業するだけでも、効果はありますが、加工、販売することで、コミュニケーションが生まれ、地域の交流拠点になります。6次産業化することは、農福連携の効果を最大化する方策なのだと考えます。
3.アーバン農福連携の可能性
健康街づくりにおいて、遊休地や屋上菜園などを活用した「アーバン農福連携」は、非常に有効だと考えます。
ヒートアイランドの低減や、食料自給率の向上、地産地消、コンポスト(堆肥化)によるフードロス削減などの効果に加えて、身体を使った農作業は心を和らげ、加工・販売することで、コミュニティの拠点になることも可能になります。
土に触れて香りを嗅ぐ、地元野菜を育てて、旬に食べる・交流する機会を提供することは、心身の健康には非常に有効ではないでしょうか。
農作業を起点に、社会参加を実感することができる「アーバン農福連携」は、人の繋がりや支え合いが弱くなり、他者への不寛容が広がりつつある現代社会だからこそ必要な機能だと考えます。
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