都市における「共感人口」を検討するために、そもそもの関係人口の定義や規模感、創出施策を整理します。
関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、「地域や地域の人々と多様に関わる人達(人口)」を指します。2016年に雑誌「ソトコト」編集長の指出一正著「ぼくらは地方で幸せを見つける」、2017年の田中輝美著「関係人口をつくる」などで提唱された概念です。2017年には総務省の「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会(座長 小田切徳美 明治大学農学部教授)」において取り上げられます。人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面している地方圏で、若者を中心に変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待される」と報告され、地方創生を実現するコンセプトとして脚光を浴びるようになりました。
背景には2014年度から地方創生法が設けられ、ほぼ全ての市町村において「地方版総合戦略」と「人口ビジョン」とが策定されましたが、各自治体では定住人口の増加や維持が困難であることが認識され、交流人口が拡大したとしても、地域の維持が困難であることも、徐々に認識されるようになります。このような状況を打開するために提案されたコンセプトが、「関係人口」といえます。 総務省では続く2018度に「関係人口創出事業」を、2019年度及び2020年度に「関係人口創出・拡大事業」を実施し、国民が関係人口として地域と継続的なつながりを持つ機会・きっかけを提供する地方公共団体を支援してきました。また国土交通省は2020年に三大都市圏の18歳以上居住人口(約4678万人)のうち2割以上(約1080万人)が他の地域の関係人口になっているとのアンケート調査に基づく推計を公表しています。まさに成熟ニッポンにおける地方創生の切り札として、国を挙げて観光以上定住未満の「関係人口」の創出を後押ししている状況と言えます。
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