「共感人口」を、居住人口や就業人口に変わる都市指標として採用しるために、経済効果という視点を検討してみます。日本の国内家計最終消費支出(約280兆円)を総人口(約1.26億人)で割ると定住人口一人あたりの年間消費額は222万円になります。一方交流人口は国内旅行費用において一人当たり消費額が宿泊5.5万円、日帰り1.7万円(2019年)となっています。(因みに訪日外国人一人当たり消費額は15.8万円)共感人口が季節毎に来訪宿泊すると想定すると年4回22万円となり、約10人で定住人口に相当します。同様に毎月来訪宿泊する想定では、年12回66万円で、実に約3人で定住人口と同じ経済効果をもたらす計算になります。もちろん一般の観光客とは行動も異なり、消費単価も変わるでしょうが、マーケティングにおいて新規顧客の獲得費用は、リピート客を維持する費用の5倍かかると言われます。「20:80の法則」で語られるように、2割の常連客が利益の8割に貢献することを勘案すると、共感人口が地域にとって非常に大きな経済効果をもたらすと想定されます。
さらにシェア・ビレッジの例(年会費3000円、会員数2000人)のように、「バーチャル住民」を想定するとオンライン1stの時代に対応した収益モデルを検討できそうです。日本の人口構成や経済成長力を勘案すれば、「バーチャル住民」は非常に有効な施策だと考えます。都市における共感人口の延長には、リアルな都市圏や国籍を超えた「バーチャル住民」が想定され、都市版のふるさと納税的の貢献もイメージ可能です。ふるさと納税は返礼産品が話題になりますが、本来は「自分で応援したい地方を選ぶ」ことが主題でした。130万人の国民に対し、7万人(2020年)を超える外国人が登録している東欧のエストニアの電子政府のように、リアルな都市圏や国籍を超えたデジタルな渋谷住民やアキバ住民などがイメージ可能です。共感人口を重視して、その活動舞台として独自の都市カルチャーを発信して行く事による価値創造は非常に有効です。国際的にも評価され、ファンの多い日本のカルチャーを基盤にして都市の再生を目指すことは、必然であり希望のある戦略と考えます。またソシオ・プレイスを基にしたビジネスモデルでは、コンテンツが充実してくればオンライン上でチャンネル登録数に応じた広告料収入や、リアルではイベント時の入場料収入、さらには商品開発収入なども上乗せが可能になり、多彩な収益構造が作り上げられます。都市開発・運営するディベロッパーは単なる床貸し事業ではなく、リアルとオンライン、お客と商品開発者(ソシオ)とが、ハイブリッドに共創・展開する舞台を創出する【ライフスタイル・プラットフォーム事業】に転換することになるのです。
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