都市を多様な人・モノ・環境との実感交流の舞台と想定すると、商業施設はマスターゲットに「モノ」の売り買いする場ではなく、ソシオ同士が「価値観やストーリー」の売り買いする場として価値を持ちます。例えば飲食業で言えば、単に「美味しい料理を提供する」だけでなく、創作における独自のストーリー価値を語れる「都市型6次産業化」した方がソシオにとって価値が高まると言う事になります。そのためには飲食だけなく、他業界と連携した都市体験の一部として位置付けた活動が必要で、音楽やpopカルチャーも含めユーザーの反応やフィードバックを、次の創作に生かし進化させる事ができる仕組みが大切です。更にはスペインのグルメ都市サン・セバスチャンの美食クラブのように、レシピをオープンにしながら料理人だけでなく研究者やアーティストを含む様々な人が「食文化づくり」に参画できるような仕組みも魅力的です
さらに新しい知見と出会える場としてのミュージアムや図書館・書店や、お酒や食事を介しながら出会い対話する場としてのクラブ・バー・カフェ・レストランなどが想定されますが、いずれも建物内部で活動が完結してしまっては、新しい実感交流を通じた進化が促せません。街なかにハミ出し、他の場の活動と混じり合い、化学反応のように進化していくことが重要なのです。ソシオ起点の「次世代の生活文化」を発信するには、均質なホワイトキューブではなく、地域(空間)的なつながりや歴史(時間)的な文脈を継承した「曲(クセ)のある環境」が優位なのです。これからは創造性を刺激する沢山のフックを織り込まれた環境が求められるのだと考えます。
個人とソシオを刺激するフックとして、真実性(相応しさ)と歴史性(サスティナビリティ)とが重視されるようになるのです。「世界観とストーリー」を纏ったリアル環境をショールームとして生かし、オンライン上で収益を獲得していくのです。近代都市は人間に文明として合理性と利便性とを与えてきました。これからは人間が文化として土地の曲を生かしながらコンテンツを上書きしていく番です。個人がソシオとしてお互いに情報を受発信し輝き合える、更に総体として人間と都市とが輝き合える【ソシオ・マーケットプレイス】こそ卒・売り場思考の商業施設の未来形であると考えます。
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