top of page
検索
  • 執筆者の写真admin

卒・売り場思考の商業施設⑩ ソシオ・マーケットプレイスの未来

都市を多様な人・モノ・環境との実感交流の舞台と想定すると、商業施設はマスターゲットに「モノ」の売り買いする場ではなく、ソシオ同士が「価値観やストーリー」の売り買いする場として価値を持ちます。例えば飲食業で言えば、単に「美味しい料理を提供する」だけでなく、創作における独自のストーリー価値を語れる「都市型6次産業化」した方がソシオにとって価値が高まると言う事になります。そのためには飲食だけなく、他業界と連携した都市体験の一部として位置付けた活動が必要で、音楽やpopカルチャーも含めユーザーの反応やフィードバックを、次の創作に生かし進化させる事ができる仕組みが大切です。更にはスペインのグルメ都市サン・セバスチャンの美食クラブのように、レシピをオープンにしながら料理人だけでなく研究者やアーティストを含む様々な人が「食文化づくり」に参画できるような仕組みも魅力的です

さらに新しい知見と出会える場としてのミュージアムや図書館・書店や、お酒や食事を介しながら出会い対話する場としてのクラブ・バー・カフェ・レストランなどが想定されますが、いずれも建物内部で活動が完結してしまっては、新しい実感交流を通じた進化が促せません。街なかにハミ出し、他の場の活動と混じり合い、化学反応のように進化していくことが重要なのです。ソシオ起点の「次世代の生活文化」を発信するには、均質なホワイトキューブではなく、地域(空間)的なつながりや歴史(時間)的な文脈を継承した「曲(クセ)のある環境」が優位なのです。これからは創造性を刺激する沢山のフックを織り込まれた環境が求められるのだと考えます。

個人とソシオを刺激するフックとして、真実性(相応しさ)と歴史性(サスティナビリティ)とが重視されるようになるのです。「世界観とストーリー」を纏ったリアル環境をショールームとして生かし、オンライン上で収益を獲得していくのです。近代都市は人間に文明として合理性と利便性とを与えてきました。これからは人間が文化として土地の曲を生かしながらコンテンツを上書きしていく番です。個人がソシオとしてお互いに情報を受発信し輝き合える、更に総体として人間と都市とが輝き合える【ソシオ・マーケットプレイス】こそ卒・売り場思考の商業施設の未来形であると考えます。

最新記事

すべて表示

築地の魅力 築地アップデート ③

【内容】 築技(つきわざ)とは 築地の「目利き文化」 「築技」誕生のメカニズム       1.築技(つきわざ)とは 「築技」とは、築地市場の豊洲への移転後も、築地本来の魅力を残す目的で、NPO法人「築地食の街づくり協議会」が展開するプロモーションの呼称です。...

食品流通の仕組みと動向 築地アップデート ②

【内容】 食品卸業とは 食品卸業の役割 卸売市場の転換期     観光客で賑わう「築地」が、なぜ危機的状況なのか? 「築地」の複雑な特徴を明らかにするために、食品流通の仕組みと動向を整理します。 1.食品卸業とは 食品卸業とは、生産者から食品を仕入れて、小売業者に卸す(販売...

今なぜ「築地」なのか?築地アップデート ①

【内容】 SOS「築地」 築地の歴史 築地の現在地       1.SOS「築地」  築地場外市場(以下「築地」)は、「美食の街:東京の台所」としてインバウンド客に大人気で、連日朝早くから観光客であふれています。 一見、大繁盛で皆が羨む光景ですが、その裏で「築地」の本業の疲...

Comments


bottom of page