商業ディベロッパーは従来の床貸しスタンスを根本から見直す必要があります。人口減少・超成熟社会を認識しながら、ダウントレンドへの対応を先送りしてきた「ツケ」が、コロナショックで一気に顕在化され、待ったなしの状態と言えます。
商業施設の DX化で先頭を走るパルコグループ(パルコデジタルマーケティング 岡田泰宏氏)は、以下のような施策を提言されました。
テナント店舗のDX 化支援:商業施設内のテナントは千差万別です。 DX シフトが進み「オフ会の場としてイベント機会を提供するテナント」レベルから、「テナントの集客、接客支援サービスを提供する」レべル、さらには「決済に至るフル DXサービスを提供する」レベルなど、テナント店舗のDXニーズは3〜4段階のオプションに分類できるそうです。商業ディベロッパーにはそれぞれに対応した DX 化支援インフラ&サービスが求められるのではないでしょうか。
館としてのファンコミュニテイ形成:テナント DX支援の前提として「館」そのものがファンコミュニティを持っていなければなりません。そのためには単発・発信型の販促イベント思考ではなく、継続・参加型の定常プログラム思考で、活動を組み込んでいく必要があります。 健康・子育て・趣味などの興味と好奇心を元にした知縁テーマで、ファンコミュニティを拡張していくために、NPOや教育機関他の各種団体との連携が不可欠になってきます。
従来の「売り上げ歩合賃料+販促費」という事業モデルではなく、よりきめ細かな効果測定と対価を実現する事業モデルへの転換が求められてます。広告業がマスメディアの枠を押さえて販売する従来モデルから、きめ細かな効果測定と対価まで求められている状況に酷似しています。
単に多くに店舗が集積しているだけでなく、ミュージアム・教室やイベントなどの目的環境で「わざわざ外出・来店する口実」に対応し、カフェ・ダイニングなどの滞留環境で「せっかく外出したら、色々楽しみたいという充足心理」に応えるための「ワンストップ環境」の整備も重要です。
デジタルで「できること・できないこと」が少しずつ見えてきました。オンライン1stの視点で、セレンディピティや深い体験ニーズなど、リアル店舗の役割を明確化していく必要があるのです。さらに市場全体では低減傾向が想定される商業床ニーズの代替として、業際的にオフィスや宿泊の場としての活用も模索すべきだと考えます。もはや「ショッピングセンター」ではなく、真の意味で「ライフスタイルセンター」への転換が求められていると考えます。
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