【内容】
1.地方創生のビジョンと4つの目標
2.三本の矢による支援
3.第二期での軌道修正
1.地方創生のビジョンと4つの目標
今ではバズワードのなった感さえある「地方創生」ですが、元々は2014年に施行された「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、施策パッケージのことを指します。
その目的は、「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する」とあります。
「2060年に1億人程度の人口を維持する」という長期ビジョンに向けて、4つの基本目標を掲げています。
①地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする:地方における観光業や農林水産業の促進及び雇用対策。
②地方への新しいひとの流れをつくる:政府機関の地方移転や企業の地方拠点の強化、地方の修学・就職の促進、移住の促進。
③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる:地方における出産・子育て支援の充実。
④時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する:防災や健康寿命の延伸、気候変動への適応、SDGsへの取り組みなど、様々なまちづくりの取り組み。
2.三本の矢による支援
この4つの基本目標を達成するために、国は【地方創生版・三本の矢】による支援を行っています。
①情報支援の矢:地域の人口動向や産業構造、人の流れなどに関するビッグデータを集約可視化したRESAS(地域経済分析システム )を運用。
②人材支援の矢:地方創生人材支援として、デジタル分野を中心に、国家公務員、大学研究者、民間企業社員などの専門的な知見を有する人材を、市町村長の補佐役として派遣。
③財政支援の矢:地方創生推進交付金として1000億円規模の予算が確保されるとともに、企業版ふるさと納税(2022年度実績223億円)などを推進。
3.第二期での軌道修正
2014〜2019年度を第一期とし、2020年度からは、第一期の実績と課題とを踏まえた第二期の5カ年計画が策定されています。
第二期の策定に当たっては、「地方への新しい人の流れをつくる」取り組みの強化として、関係人口の創出・拡大を提唱しています。
またSociety5.0やSDGsなどの「新しい時代の流れを力にする」点や、第一期の中で、転入超過数の中で顕著な「東京圏への若年女性の転出傾向」に対応し、「多様な人材の活躍を推進する」として、若年女性にとって魅力ある雇用の場の創出を重視しています。
さらに地方と東京との連携や、既存の行政区域単位にとらわれず、複数の市町村からなる「圏域」での施策展開が強調されています。
「地方創生」は、時代に対応して、より柔軟に軌道修正したと言えます。
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