【内容】
街歩きの「テーマ」づくり
見立てアート視点
メタ思考で街を楽しむ
1.街歩きの「テーマ」づくり
街を歩くといっても、ただ歩くだけでは、直ぐに飽きてしまいます。
体力づくりのために歩くのなら別ですが、街歩きを楽しむための「工夫」を持った方が、継続・習慣化できるのではないでしょうか。
簡単にできる街歩きの「工夫」として、「テーマ」づくりが考えられます。
「坂のある街歩き」「アニメの聖地巡礼」から「カフェ巡り」「ラーメン巡礼」など、様々なテーマ設定が可能です。
日本には四季がありますから、同じ場所を「定点観測」しても、季節によって、変化する街の景色を楽しむ事が可能です。
朝歩き、夜歩きなど、日中とは違う街の表情を楽しむことも面白いと思います。
ブラタモリ的に、古地図を用意して、街の成り立ちや地形・歴史を楽しむのも面白いです。
「今日は街の中で赤色のアイテムをコレクションしてみる」など「色コレクション」も有効です。
例えば「赤」なら、郵便ポストや消火栓だけでなく、公園のベンチや飲食店の看板・案内サインなど、街なかで様々な赤色のアイテムが見つかると思います。
「テーマ」を設定して街を歩いてみると、普段何気なく見ている街の風景が、全く違って見えます。
逆を言えば、「普段は見ているようで、何も見えていなかったという事」が実感できると思います。
2.見立てアート視点
「見立てアーティスト」の鈴木康広さんの視点も参考になります。
ファスナーを模した船で、ファスナーが開くように水面を進んでいく鈴木さんの作品「ファスナーの船」は、非常に話題になりました。
見慣れた事象や風景に、新鮮な切り口を与えるアーティスト達の視点は、景色の見方を変える「見立て」の楽しさを伝えてくれます。
石山蓮華氏のように、「電線愛好家」を名乗る方もいます。
暮らしに欠かせないインフラの電線ですが、景観の邪魔者として批判され、「見えているのに、見ていないもの」にされています。
その電線がどの家につながっているのかを辿ったり、配線の途中でまとめられた電線も、カオスに見えて、実は丁寧にまとめられていたり、見ていて飽きないと言います。
その他にも、地下河川化した「暗渠」をめぐる「暗渠探検隊」や、バス停など街中に勝手に設置された「椅子」を、「野良いぬ」ならぬ「野良いす」として、鑑賞する人もいます。
「蝶の形に見える落ち葉」や「窓ガラスに映った魚のような雲」など、自分独自の視点で「タイトル付け」すると、街中で出会う風景が、ユニークな「見立てアート視点」で楽しめます。
3.メタ思考で街を楽しむ
東京の初台駅につながる「オペラシティ」を起点に北上し、西新宿五丁目駅に至る1.2kmの山手通りと周辺商店街は、健康まちづくりを推進する「ヘルシーロード」として設定されています。
歩道上に十分な明るさを提供する14m間隔の街路灯、300〜500m間隔の歩行者用案内サイン、同程度の間隔でのベンチ設置、バス停と連動したベンチ・フラワーポットからなる「ヘルシーロード・オアシス」などが整備されています。
ハード整備だけでなく、ウィーキング・イベントも仕掛けられていますが、多様な人たちが、ヘルシーロードを散歩するには、イベントを超えて、「歩くこと+α」のプログラムが必要ではないでしょうか?
ヘルシーロードを歩きながら、俳句や川柳、詩など「場所と時間と自分の気持ち」を表現し、発表し会える機会があると、定期的に散歩して貰えると思います。
シルバー川柳の「マイナンバー ナンマイダーと 聴き違え」的なユニーク視点で、周辺の魅力を発見・表現して貰ってはどうでしょうか。
このような視点を膨らませていくことで、表層的な景観だけでなく、自分とのつながりや意味・所以に思いを巡らせるメタ思考スキルが養われます。
このメタ思考スキルで捉えると、あらゆる店・場所・街の隠れた魅力を見出すことができる「自分の進化」に気づきます。
「面白きこともなき世を面白くするは、住みなすものの心なりけり」とは幕末の志士:高杉晋作の言葉とされていますが、まさにこのメタ思考スキルで「面白がれる人」が増えることによって、面白がれる視点が広がり、面白い場所が増え、より多くの人が面白がれる街に変わるのだと思います。
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