戦略3:「続けられる環境を整える」 「関わり資本」による都市再生 ⑧
- admin
- 7月3日
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【内容】
第1章:なぜ「続けられる環境」が求められるのか
第2章:三層ごとの「継続支援」のかたち
第3章:地域に「続けたくなる循環」を仕込む
第1章:なぜ「続けられる環境」が求められるのか
どんなに魅力的なプロジェクトも、持続しなければ成果が街に定着しません。
地域活動の多くは、時間とともに熱が冷めたり、担い手の疲弊によってフェードアウトしてしまうことがあります。
そのため、まちづくりの中では「関わる人が続けやすい環境」を制度・空間・関係性の各面で設計する必要があります。
行政側の役割としては、活動にかかる実費の補助や、継続的に使える拠点スペースの提供、相談や伴走が可能な地域コーディネーターの配置などが挙げられます。
活動そのものだけでなく、その“持ちこたえる力”を支える体制が求められるのです。
また、活動を続けるうちに「自分たちは役に立っているのか」という不安が生まれることもあります。これを防ぐためには、関与に対する社会的な承認や、小さな報酬設計、他の地域との比較による励ましなども重要な要素です。
第2章:三層ごとの「継続支援」のかたち
①主体的に動く人たちは、活動そのものの継続性だけでなく、「自分がいなくなった後も地域が動き続けるか」という視点を持っています。
この層に対しては、財源の確保支援(補助金・共創型クラウドファンディング)や、拠点運営の安定化、後継者育成を見据えたサポートが不可欠です。定期的な発表会や自治体との中間報告の機会も、活動の継続動機となります。
②協力する人たちには、関与しやすいサイクルの設計が重要です。「
いつでも・少しだけ・誰かと一緒に」関われる場があれば、彼らは疲弊することなく、繰り返し戻ってきます。たとえば、年に1回のイベントではなく、月に1回のゆるやかな活動日(例:まちの掃除+お茶会)のような場があると関係性が維持されます。
③参加する人たちには、再訪するきっかけが重要です。
「あの場所にまた行きたい」「次回は子どもを連れて行こう」と思えるように、居心地の良さや記憶に残る仕掛け(音楽、香り、写真スポットなど)を用意します。また、LINE登録やお知らせツールなど、継続的な接点の設計も欠かせません。
第3章:地域に「続けたくなる循環」を仕込む
まちづくりが一過性のブームではなく、日常に根づくには、「関わっても疲弊しない」構造が不可欠です。特に、担い手が“頑張りすぎる”ことで活動が破綻するケースは少なくありません。だからこそ、持続的な関わりのために、適度な分担・ゆるやかなネットワーク・心理的報酬の設計が求められます。
行政は、活動の波が緩やかになる期間も支援を続ける“保温器”として、制度的支援や拠点の維持を担うことが重要です。
民間側は、イベントだけでなく日常の小さな営みにも意味を与える“編集者”として、場を耕し、関係を育てていく存在になります。
「いつか誰かがではなく、自分たちが続けられる」──そう感じられる地域が、人口減少時代における本当の持続可能な都市と言えるのではないでしょうか。
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