【内容】
エイジング・イン・プレイスのニーズと可能性
福祉のコンビニ
負い目を払拭する「+α」の工夫
1.エイジング・イン・プレイスのニーズと可能性
「厚生労働白書2016」には「住み慣れた住まいや地域に最後まで住み続けたい」という高齢者は72.2%に及ぶという調査結果があります。
約9割が「住み慣れているから」という理由ですが、一方で「老後に一人暮らしすることになった場合の健康不安」も7割が上げています。
「家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で受けたい」という答えが、37%と最も高く、「家族による介護」の18%の約2倍になっています。
まさしく「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続ける事:エイジング・イン・プレイス」が、求められているのです。
助けを必要とする高齢者の人数は、要介護高齢者(608万人:4.8%)認知症高齢者(525万人:4.1%)となり、住民の9%弱と想定されます。
街の中にエイジング・イン・プレイスを、支えるための仕組みが必要なのです。
2.福祉のコンビニ
介護予防策では、身体活動の重要性が認識されているものの、「室内での体操」などでは、少人数・短期効果に止まります。
より多くの人たちの行動変容を促すには、ヒューマンスケールの近隣環境に、立ち寄りやすい場所や、人と人とのつながりが生まれる活動を作り、「外出・歩行を促す」方策が、有効なこと事がわかってきました。
このような街の拠点には、従来の公的な介護サービスだけでなく、見守り、食・買い物サービスなどの基本的な生活機能に加えて、旅行・外出、趣味など多様な楽しみサービスの充実が必要です。
高齢者・子供や障害者を含む多様な住民に向けて、サービスを提供する「福祉のコンビニ」です。
ボランティアや住民主体の「共助」や、市場サービス提供者など多様な主体の連携による生活福祉拠点が、近隣にあることが重要という事です。
3.負い目を払拭する「+α」の工夫
多様な交流サービスを提供する「福祉のコンビニ」は、健康街づくりの拠点機能として有効だと思いますが、もうひと工夫できないでしょうか。
北欧には「ホイス・コーレ」という生涯学習施設があります。知人が留学したホイス・コーレでは、高齢者と若者が一緒に学んでいたと言います。若者たちは学びながら、高齢者のサポートをするという一種のデイケアセンター機能を担っているのです。高齢者は「学ぶ」という名目があるので、負い目なしにデイケアに通え、若者たちはサポート作業を条件に、「学ぶ」費用が減額される仕組みです。このような負い目を払拭する「+α」の工夫が、利用者の拡大に繋がるのではないでしょうか。
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