【内容】
1.「おもてなし」による関係性を価値化する
2.リアルな顧客接点業としての未来
1.「おもてなし」による関係性を価値化する
日本人の気遣いの文化としての「おもてなし」は、愛と想像力とを「ウチ」に膨らませて、奉仕の精神で、丁寧できめ細かなサービスを提供する行為を指します。
おもてなしは大切ですが、それだけでは付加価値を生まず、生産性も低いままになります。
この「おもてなし」を、お客さまの心を開く技術と、定義してはどうでしょうか。
これからの時代には、これに加えてお客様の様々な要望に、期待を超えて答えていくために、「おもてなし+α」スキルが重要になります。
接客業は、「おもてなし」の精神で、丁寧できめ細かなサービスを提供することが、【ゴール】ではなく、むしろそこを【スタート(起点)】にして、どのような価値を創造していけるのか?そのためにどのようなスキルを身につける必要があるのか?を検討・設計していく必要があります。
①プロデュース能力を活かして、様々な体験価値を有償で提供できるかもしれません。
②サードプレイス・キャスト能力を活かして、非日常的で居心地がいいリビングラボを運営できるかもしれません。
③コミュニティ・マネジャー能力を活かして、コミュニティと連携したい企業に対応できるかもしれません。
超高齢&超成熟社会においては、お客さまの心が閉じた状態、冷めた状態では、いくら発信しても効果は現れず、必要最低限のモノしか売れません。
「おもてなし」によって「心が開く」「アガる」状態にした上で、「+α」の様々な提案をしていく複合的な価値創造プロセスが必要なのです。
2.リアルな顧客接点業としての未来
これまでの接客業は、労働集約型で生産性(=給料)の向上に限界があったのですが、技術革新によって、状況は一変しました。
ネット上の検索履歴だけでなく、リアル世界での行動履歴についても、データなどへの紐付けが、できるようになり、関係性が可視化できるようになりました。
お客様との関係性の密度や量が、価値化できる時代なのです。
ネット広告では、次の3段階の効果測定が可能です。
①インプレッション:表示回数(1円程度/回)
②クリック:クリック回数(10円〜数千円/回)
③コンバージョン:資料請求・購入(100円〜数万円/回)
これをリアルな接客に当てはめてみると
①商品前通過人数、②関心・体験者数、③QRダウンロード数、
となるのでしょうか。
一般の屋外広告などの、価値換算は①止まりですが、関係性を築けたり、コミュニティになっていれば、②や③にリーチ可能です。
最終的に、お客様はネットショップで購入したとしても、どこで認知したのか?いつ関心を持ったのか?の追跡が可能になっています。
この仕組みを前提にリアル接客のビジネス設計をしてはどうでしょうか。
接客業において、心を込めた「おもてなし」が、生産性(=給料)にも反映でき、キャリアアップに向けて、どのようなスキルを獲得していけば良いのか?が明確になります。
このようなビジネス設計を経て、接客業は「使い捨て」「代わりが居る」ではない職業になるのです。
さらに、「おもてなし」文化の輪が広がり、茶道の「主客一如」として、「もてなす主人と、もてなされる客人の双方が、お互いの気持ちになり、立場になる」という社会認識が広まると、互いに思いやれる「優しい未来をつくる基礎体力」になるのではないでしょうか。
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