top of page
検索

推しスポーツ 「推し活」文化 ⑧

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2024年1月10日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. スポーツ観戦の魅力

  2. スポーツ観戦のカタルシス要因

  3. スポーツ観戦の心理的価値

 1.スポーツ観戦の魅力

近年の日本では、プロスポーツのリーグ化が盛んです。

従来のプロ野球に加えて、サッカーの J リーグやバスケットの Bリーグ、ラグビーバレーボール・卓球・ダンスなどのプロリーグが定着しつつあります。

スポーツ観戦の一番の魅力は「筋書きのないドラマ(=不確実性)」ではないでしょうか。

スポーツ観戦する上では、勝ち負けの結果が分からないからこそ、「勝って欲しい」「ゴールを決めて欲しい」と願って、ハラハラドキドキするわけです。

この日常の生活では味わえない「不確実性が生み出す感情の爆発」を通じたカタルシスこそ、スポーツ観戦の醍醐味なのです。

「カタルシス」とは、心の中に溜まってしまったネガティブな感情を解放する「浄化作用」ことで、スタジアムで、みんな一緒に盛り上がったり、何かを達成することで、カタルシスを感じます。

スポーツ観戦における応援カタルシスは、代理的な発散・浄化作用といえ、攻撃衝動を社会的に、無害な発散方法として有効と言えます。

成熟社会化し、明るい未来が描きにくい日本で、さまざまなプロリーグが設立され、観戦ニーズが高まる事も偶然ではないと考えます。

2.スポーツ観戦のカタルシス要因

スポーツ観戦におけるカタルシス効果を増幅する要素として、下記のポイントが挙げられます。

  1. 応援対象への愛着:愛着は、「好意」と「関係性の近さ」に比例します。

自分に関係のないスポーツの試合は、「凄い」とは思っても、観戦していても一喜一憂することはありません。

応援する対象への「愛着」があるからこそ、勝った時には嬉しいし、負けた時には悔しいという感情が生まれます。

  1. 密な観戦状況:観客が疎らなスタジアムでは、観客だけでなく選手もプレイに緊張感が薄れます。

満員のスタジアムこそ、家では味わえないスポーツ体験を魅力化する要素と言えます。

  1. 過酷さ:勝つ確率の低い強敵との対戦や、序盤から負けている劣勢の状況などの「過酷」な試合状況からの「逆転勝利」は、歓喜をもたらします。

雨中や炎天下での観戦・応援なら尚更、喜びは増幅します。

  1. 勝敗の価値の大きさ:「絶対に負けられない」試合ほど、同園する際の感情移入が大きくなります。リーグ戦よりもトーナメント、一回戦よりも決勝戦、「絶対に勝って欲しい」と願い気持ちが、結果に対して感情を爆発させ、歓声や悲鳴につながります。

3.スポーツ観戦の心理的価値

近年の心理学研究では、「豊かに変わる他者の表情を目にすることは、表情の少ない環境にいるよりも、メンタルヘルス環境として良い」という事がわかっています。

感情的になる事を抑える「日常」に対して、スポーツ観戦において、選手の表情を通して、「勝てて神に感謝」や「負けて悔しすぎる」などの、激しい感情移入を体験することは、大変な癒しや励ましになると共に、疲れた心を鼓舞してくれる効果があると言えます。

もう一つがスポーツの持つ「勝敗の力」です。実社会では、人間関係や社会関係で断定することを避け、周囲とバランスを取る状況が続きます。

それだけに、勝敗に一喜一憂して、勝つか負けるかのシンプルなことだけに全力を尽くす選手の姿を目にすることは、自分の普段のモヤモヤを代理解消してくれ、爽快感を与えてくれます、

心理学の実験の結果、カタルシス効果は「個人競技よりも、集団競技の方」が大きくなり、観戦する側も、「冷静に集中している時よりも、みんなで盛り上がっている方」が、大きくなる事がわかっています。

 
 
 

最新記事

すべて表示
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性  AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 

コメント


bottom of page