【内容】
タピ大という先進事例
見守りを超えた「学校の共創」
人を育てる、寛容な社会づくり
1.タピ大という先進事例
仙台市の郊外にあるショッピングセンター「タピオ」には、「タピオ館立オープン大学(略称:タピ大)」と言う大学があります。
タピオの共用部で開催されるタピ大の講座は、原則無料(館の企画する特別講座は有料)で、お客による持ち込み企画で構成されています。
地元研究家による「伊達政宗騎馬像の謎」、書道家による「心に決めたことを文字に書いてみよう」、ピアノ講師による「卒業ソングの今昔」など、ユニークな講座ばかりです。
誰でもが、生徒になれるし、先生にもなれる生涯学習と自己表現のプラットフォームになっています。
社会人の学びの場として、各地でソーシャル大学が、活動していますが、これからの時代のソーシャル大学の一番の効用は、「実は教える」ことにあると考えます。
2.見守りを超えた「学校の共創」
小学生が登下校する際の、安全確保のための「見守り」は重要な役割ですが、もう一歩踏み込んだ「教える・学ぶ関係」を築けないでしょうか。
子ども達にとって、学校の先生以外の様々な大人と接点を持つこと(=大人の社会を知ること)は、非常に重要かつ有益だと思います。
子どもといえども、いざ「教える」となると、関連する分野の知見を、再確認する必要がありますし、この役割が、「自尊マインド」を覚醒させ、生きがいと生きる姿勢の矯正に繋がると考えます。
子供を取り巻く人間関係の希薄化は、よく話題になりますが、最も希薄になっているのが、所謂「ナナメの関係」です。
農村・大家族の時代には、叔父・叔母、祖父・祖母の親戚から、名付け親をはじめ様々な近所の大人達がおり、①話し相手②相談相手③タテ・ヨコの関係の通訳・仲介者④新しい視点・生き方・価値の提供者⑤大人のロールモデルなど、様々な役割と機能を担っていました。
この関係が、ゴッソリ無くなり、直接的な責任と利害が関わる親・教師などのタテの関係者と、同質的な友達同士などのヨコの関係者ばかりになり、非常に息苦しくなっているのが、現状と言えます。
教育研究家の藤原和博さん達が導入した「スクール・ソーシャルワーカー」のように、地域の大人が、もっと子供に関わる仕組みを拡充してはどうでしょうか。
みんなで「学校を共創」するのです。
3.人を育てる、寛容な社会づくり
「学校の共創」は、地域社会にも影響を与えます。
居酒屋の通説に「3回通えば常連」と言う言葉がありますが、学校や子ども達と複数回接することによって、街なかでも子ども達を、気にかけ見守ることに繋がると考えます。
地域のトラブルの大部分が、コミュニケーション不足だと言われます。
「学校の共創」を通じて、子ども達の「顔」が見え、それを「支える心」が育まれると、学校を中心に「寛容な社会化」を推進するインフラが、生まれるのではないでしょうか。
学生は本来「様々なことにトライする事」が許される立場にあると考えます。
ディスるばかりでホメなくなり、失敗に対して袋叩きにして、やり直せなくしてしまう日本社会の、「不寛容な空気感を変えていく機会」になると思います。
京都では「学割」といって、学生や教員・研究者に対して、街なかの飲食店がサービスを割安で提供する寛容な風習が残っていました。
学校を中心に、学ぶ力とそれを支える心が、未来を作っていくのだと確信します。
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