【内容】
「+生業」によるサードプレイス化
「暮ら・し・ごと」という考え方
その他のサードプレイス化
1.「+生業」によるサードプレイス化
家というファーストプレイスのサードプレイス化、というと可笑しく聞こえますが、「+生業」によるサードプレイス化の提案です。
生業(せいぎょう)とは「なりわい」とも言いますが、ここでは生計を立てるための自営業と定義します。
人生100年時代、1億総副業時代になれば、ライスワークとしての会社仕事と並行して、自分の興味と得意とを生かしたライフワーク(生業)を副業として、仕組んで行っても良いと思います。
こう考えると生業の方は、お金を使わない半分趣味、半分実益スタンスの方が長続きし、有効ということになります。
さらにコロナ禍を経て、リモートワークが定着し、毎日出社する必要がなくなり、これまでは通勤アクセスを中心に選択されていた自宅選びの制約がなくなり、身近で生業を開業・運営できる家や街が求められるようになると考えます。
2.「暮ら・し・ごと」という考え方
「暮ら・し・ごと」とは、「暮らし」と「仕事」を掛け合わせた造語です。
住むだけ、寝るだけではなく、都心の会社仕事とも連携しながら「自分の興味と得意」とを活かして「居場所と出番」を見つけていくライフスタイルとして「暮ら・し・ごと」が求められる時代になると考えます。
1.興味や趣味をきっかけに集う知縁への対応:自宅の一部や集合住宅の共用部において、パンや和・洋菓子などの食品を中心とした製造販売のお店を作ったり、サロン、教室、スタジオ、工房などが想定されます。
公園や緑地と連携できる立地であれば、カフェ・レストランをはじめ、ペットウォークやランニングステーションが可能になります。街なかでの菜園も魅力的です。
2.いえ仕事、まち仕事への対応:地域住民の手助けになる子育てや介護サービスと併存できるコワーキングスペース、家具や家財の制作・補修を手がけるクラフト・木工や、服飾・アクセサリーなどものづくり工房での製作・販売も検討できます。
基本的には各人が無理のない範囲で、営業していくわけで、週日は研究・製造して週末だけ営業する店舗になるかもしれません。
生業を前提にした戸建てや集合住宅の計画となると、これまでのとにかく防犯性、安全性を重視するため閉鎖的になりがちな、配置・建築計画を見直す必要があります。
対応する区画や共用スペースを街路に面して配置し、賑わいと界隈性を醸し出す工夫も必要です。技術の進化を勘案すると、開業費用が抑えられるモビリティショップも、有効かもしれません。
GDPの増加にはそれほど貢献しないかもしれませんが、ローリスク・ローリターンで幸福度の高いライフスタイルが魅力ではないでしょうか。
3.その他のサードプレイス化
生業を営まなくても、自宅の開放は可能です。
知人のアサダノボルさんが提案する「住み開き」や磯井純充さんが提唱する「まちライブラリー」が有効な方策だと考えます。
自宅の一部を趣味のミュージアムやギャラリーとして解放したり、お店の一部をライブラリー化する事は、街との関わりづくりと個人の解放には魅力的です。
特に「まちライブラリー」は参加者が読んでほしい本を持ち寄ってライブラリー化する仕組みで、自分の表現ツールとしての書籍活用は、アートよりもハードルが低く、幅広い人たちの参画が期待できます。
大阪でリノベーションを手がける中谷ノボル氏が「自分たちが住むだけだと、家を美しく保つことは難しいのです。お店としてお客様を迎える意識を持って初めて、色々と演出を工夫するものです」とコメントされました。
料理が自分の為だけではなく、人をもてなし時に初めて、器を含めて様々な盛り付けの工夫が生まれるように、家も街も外からの人をもてなす意識があって、初めて美しく工夫するのだと思います。
街づくりというと、住民の安全・健康・便利ばかりが重視されますが、そのさきの「文化」の有無が街の魅力化に不可欠な所以ですね。
Comments