top of page
検索

文化芸術政策の歴史:アート街づくり ③

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年12月18日
  • 読了時間: 2分

アート街づくりを検討する上で、これまでの文化政策を整理しておくことが有効だと思います。

【内容】

  1. 時代で変わる「文化」の定義

  2. (東京都の)文化施策の変遷



1.時代で変わる「文化」の定義

まず其々の時代の「大辞典」を起点にして、「文化」の意味の変遷について整理します。

  1. 明治〜大正:「文化とは文学・教化の進歩にして世の開明に赴くこと」とされ、文化振興は欧米諸国に追いつくため、国民をまとめ上げるためのツールであり、国威のアピールに利用されました。 

  2. 戦前:「文化とは学問の進歩と市民の教化」を意味し、国家の脅威として危険視され、思想を有すると見なされた芸術作品、出版物は規制の対象になりました。

  3. 戦後:「文化とは技術が進み、生活が豊かになること」とされ、戦時中の規制の反動として、自由化が求められ、経済成長が優先されました。

  4. 平成:「集団に共通の価値観及び物心両面にわたる行動様式とその創造物」と定義されます。文化庁が発足し「文化芸術立国」が提唱され、地域や市民の自主性・主体性が重視されるようになります。


このように「文化」は、国威政策から、住民主体の方向に移行していきます。


2.(東京都の)文化施策の変遷

戦後のもう少し具体的な文化施策を東京都に例に整理します。

  1. 1960年代までは、東京への人口の集中及び住宅地の郊外化が進みました。これに対応するように、各地域の芸術文化の拠点となる美術館・博物館などの「ハコモノ建設」が求められた時代です。

  2. 1970年代以降から、「文化と地域」との関係が政策上で指摘され始め、野外彫刻さらには、パブリックアートの試みが進められます。

  3. 2000年代以降は、より文化芸術の地域性を重視して、地域コミュニティ主体のアートプロジェクトが発達しました。


このように、都市における「文化」は、語義、政策、空間が密接に連携しながら、ハコモノからアートプロジェクトへと、変遷してきたことがわかります。


 
 
 

最新記事

すべて表示
方策1 シェアリング・プラットフォーム ネオ生業の時代 ⑦

【内容】 第一要件としてのシェアリング シェアリングの有効性 シェアリングの活用事例     1.第一要件としてのシェアリング ネオ生業は「遊び仕事」ですから、収益性は高くなく、通常の商業施設のテナント賃料を払えるわけがありません。...

 
 
 
基本方針 ネオ生業の時代 ⑥

【内容】 これまでの論点整理 プラットフォームの重要性と特性 ネオ生業プラットフォームの3方策     1.これまでの論点整理 組織社会の仕組みがますます巨大化・複雑化する中で、昔ながらの地縁も、昭和的な社縁もなくなり、根なし草状態の都市住民。...

 
 
 
推進のための課題 ネオ生業の時代 ⑤

「後ろめたさ」からの卒業 「日本的な謙虚さ」からの卒業 ベンチマークとしての「キッチンカープラットフォーム」     1.「後ろめたさ」からの卒業 日本人が副業としてネオ生業を始めるのに後ろめたさを感じる理由は、主に企業文化や社会的な価値観に根ざしています。...

 
 
 

Comments


bottom of page