【内容】
1.提灯への名入れだけではダメ
2.ソフトバンクホークスのスポンサード事例
3.地縁+テーマによる企業の巻き込み
1.提灯への名入れだけではダメ
お祭りへの企業協賛と言えば「提灯への名入れ」が一般的ですが、その理由は、「いままでが、こうだったから」のようです。
「地域の人たちの、地域の人たちによる、地域の人たちのためのお祭り」だった時代には、地域の一員として企業も負担してきたのでしょうが、今日の状況を考えると、この協賛パターンは見直しが必要だと考えます。
これからは、企業が本当にメリットを感じるスポンサード設計を、検討・提案していく必要があるのです。
企業も、マス広告さえ行えば、商品が売れて万々歳という時代ではない事は承知しています。
商品を開発・販売する上での「共創マーケティング」、その前段としての「企業ブランディング」、取引企業との「ビジネスミーティング」、優良顧客への「インセンティブ」、従業員の家族を含む「福利厚生」、人材獲得のための「リクルーティング」など、企業の様々な周辺活動を支援する機会として、お祭りを活用してはどうでしょうか。
2.ソフトバンクホークスのスポンサード事例
お祭りとは違う分野ですが、福岡ソフトバンクホークスのスポンサード設計が参考になるのではないでしょうか。
ソフトバンクホークスは、2019年度に324億円を売り上げて、日本で最も稼げるプロスポーツチームになっています。
売り上げの内訳は、下記の通りです。
①マッチデー収入:47%(約152億円)。年間265万人を動員し、チケット、グッズ、飲食収入など、平均客単価は5,700円になります。
②コマーシャル収入:44%(約142億円)。スポンサーシップやライセンシング収入など
③放映権:9%(約29億円)
142億円に上るコマーシャル収入は、PayPayドームにおけるビジョン収入はもちろん、様々な特定客席の名称やファウルポール(地元のマルタイラーメンがスポンサーになっています)などのネーミングライツ、さらに各種PRイベントなど250種類以上の協賛・広告・看板を商品化した成果と言えます。
スポンサーには、単なるロゴ掲出だけでは無い特典が用意されているのです。
ビジネス利用に対応したスーパーボックスは、専用エントランスやラウンジが整備され、スポンサープランによっては、試合開始2時間前から利用でき、会議後に食事会やバルコニーからの試合観戦が可能になっています。
このようにPayPayドームは、ビジネスでの接待や親睦会、企業の福利厚生に活用できるtoB対応の特典を用意し、収益化を図っているのです。
3.地縁+テーマのよる企業の巻き込み
「地縁+テーマ」の事例として、私が関わる障害者支援活動と、神宮前商店街とのコラボが挙げられます。
毎年10月に開催する「ピープルデザイン・ストリート」では、商店街の一部を歩行者天国化して、様々な出店で賑わうのに加えて、ブラインドサッカーなど障害者も一緒に楽しめるプログラムを実施します。
このような立て付けにすると、神宮前に縁のある人たちだけでなく、テーマに関連した各種コミュニティやクリエイターが関わってくれます。
さらに趣旨に賛同する企業の協力も得られやすくなります。
もちろんお祭り当日に、サンプリングの実施や企業ブースを設置するなど、分かりやすい企業メリットを提示することも有効です。
「地縁+テーマ」のコラボを柔軟に対応できるか否か?が、選ばれる地域(祭り)になるかどうか?の分岐点になるかもしれません。
また、一件のお祭りだけで小さい場合は、地域のお祭りをパッケージ化してはどうでしょうか?
プロ野球のパリーグが、チーム毎のプロモーションだけではなく、リーグでの商品化やキャンペーンを成功させている事が参考になります。
本気で企業スポンサードを検討・提案することは、これからのお祭りの事業構造を考える上で、非常に重要だと考えます。
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