【内容】
「健康経営」というモチベーション
「健康経営センター」としてのシェアオフィス
ヘルスケア・シェアオフィスの設え
1.「健康経営」というモチベーション
個人的な関心だけでなく、「社会的な課題としての健康」が、意識されるようになって久しいと思います。
超高齢社会が進行し、医療・介護などの社会保障費が膨らみ続け、2025年には65兆円に及ぶと予想されています。
このまま膨張を続ければ早晩、財政が破綻する事は、火を見るよりも明らかで、とにかく医療・介護費用を抑制するため、国民が「健康」を維持することが重要で、政府が強く奨励している訳です。
ところが日本人の約七割は、「健康無関心層」と言われ、健康になるための方法や効用を示しただけでは、普及が難しそうです。
そんな中で、注目を浴びているのが「健康経営」という考え方です。
「健康経営」は、健康に対するインセンティブを、個人ではなく法人に持たせる手法で、急速に普及しています。
経産省が主導して、法人にとって従業員の健康づくりを、「コスト」ではなく「投資」という視点の、企業行動をシフトさせることに成功しています。
2.「健康経営センター」としてのシェアオフィス
経産省は、「健康経営」を後押しする施策として、優良な法人を「見える化」する仕組みを考案しました。
従業員や求職者、関係企業、金融機関などからの「社会的評価」を受けることができる環境整備を行うため、「健康経営優良法人認定制度」を設立したのです。
健全な職場環境の認証制度として定着し、人手不足社会における雇用確保の必要条件として認識されています。
2023年現在で、大規模法人:2676社、中小規模法人:14012社が認定されています。
さらに、経産省と東京証券取引所とが共同で、「健康経営銘柄」と言う顕彰制度を設けて後押ししています。
ここでは健康経営の視点をさらに拡張し、企業が拠点を置くビルディングを舞台にして、健康経営を下支えするソフトとハードを提供する「健康経営センター」としてのシェアオフィスを提案します。
健康教育や健康増進の機会を提供するなど、ソフト・ハードにわたる経営環境を整えることで、従業員の健康を維持・向上を図ろうと言うものです。
着目点として、現行の「健康経営」に関する評価ポイントが、「自社オフィス内」に留まっている事が挙げられます。
「自社オフィス内」で完結できる労働環境であれば問題ありませんが、実際は執務空間以外にもはみ出し、場合によっては街なかに及ぶことも十分あります。
逆に言えば、「健康経営」を実践するのに相応しい街やビルディングであれば、そこに入居する企業の健康経営評価を下支えすることができるのではないでしょうか。
この点を踏まえて、ビルディングの共用施設として「健康経営センター」を担うシェアオフィスを提案します。
3.ヘルスケア・シェアオフィスの設え
基本的にはオフィステナントの社員が、気分転換として仕事ができるワーキングラウンジとして運営します。
ここでも「健康をテーマとした大学」と見立ててはどうでしょうか?
「診察に行く、療養に行く」のではなく、「健康を学びに行く」という動議づけが、参加頻度と参加範囲を拡張してくれると考えます。
共に学ぶ同志として、異なるテナントの社員同士でも、気軽に交流できる多彩なプログラムを定期的に開催します。
このワーキングラウンジの中に、下記機能を設けます。
マインドフルネス・スタジオ:ヨガやマインドフルネスなど、アンチストレスのプログラムを開催するスタジオです。通常はマシンジムとしての使用を想定します。
デジタルデトックス:サウナや仮眠室、酸素カプセル、マッサージチェアなどを用意します。
会議センター:各テナントの専用区画では確保しにくい「大型会議室」や「ハイブリッド会議室」などの特化した会議設備とサービスに対応します。
さらにワーキングラウンジとは別に、下記の付帯施設も整備します。
④ メディカルセンター(街の保健室):産業医やメンタルヘルスなどを中心とした医 療サービスを提供します。
健康コンビニ:ヘルシー弁当など、ワーカーの健康に寄与できる品揃えのコンビニエンスストアを設置します。
例えば個別テナントで確保していたミーティングスペースの1/4でも共用化できればどうでしょうか?
試算すると1万坪規模の月坪2万円のオフィスの場合:16%=1600坪の1/4、400坪を共用・効率化できた場合、月額800万円、年間9600万円以下の NEO共用施設負担料であればメリットがあることになります。
さらに健康経営関連の施設・サービスを準備することによって、「健康経営」のスコアの割増につながります。
これにより、専用部における執務空間の効率は高くなりますし、健康経営の評価を得られやすくなります。
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