【内容】
1.音声 ARの活用
2.視覚 ARで街をアソブ
1.音声ARの活用
街歩きを促す実用的な技術として、音声 ARがあります。
音声ARとは、展覧会などで作品の解説をしてくれる、音声ガイドの「まち版」だと言えば分かりやすいと思います。
街の歴史から店舗・文化施設の案内・解説や、イベント情報などの提供はもちろん、ゲーム性やホラーなどのストーリー性を加えて、街歩きや回遊を促します。
夏の夜に音声ARでの「怪談サービス」などを活用すれば、街歩きがエンタテイメントとして楽しめると思います。
多言語対応も可能で、音声という「制作が簡単(=ローコスト)なコンテンツ」が、幅広い利用者の参加を期待させます。
音声ARサービス「SARF」を開発・運営するエイベックスの中前省一氏によると、「最終的には、YouTubeのようなサービスを目指したい。」と言います。
YouTubeのように、各人が新しいメッセージやコンテンツを発信し、それを特定の場所(ベンチ)に音声 AR で埋め込んでいくのです。
その場所のフォーマルな歴史だけでなく、個人的な思い出や、エピソード・見立てアートでも構いません。
場所と季節と自分の気持ちとをかけ合わせて、俳句や川柳、詩歌として、音声 ARで、埋め込まれると、他の人の記憶や人生を追体験することが、可能になります。
ストリートやエリアによって、テーマを決めても面白いかもしれません。
テーマは健康・科学・デザイン・アニメなど、ビジネスから趣味まで多岐にわたって想定できます。
ストリートやエリアごとに一定のテーマ性があると、気分によって選択でき、集客魅力にもつながると考えます。
さらに、歩きながらメッセージを受け取り、それに「返信」していくと、「連歌」のように繋がり、重ねて、さらに面白いと思います。
自分が埋め込んだメッセージへの返信・進化を確認するために、リピート利用される事も期待できます。
このようにいろいろな人のメッセージをリアルな環境の中に埋め込んで、キャッチボールのように遣り取りすることは、セレンディピティの仕組みとしても面白いですし、リアルな場所への誘客や愛着につながる方策だと考えます。
2.視覚XRで街をアソブ
今 進行中の都市開発が完成する2030年頃には、AR グラスなどのデバイスを実装して、街を歩くスタイルが普及すると考えます。
そうなると、既存のリアルな街並みや施設を活用して、デジタル上に多彩なコンテンツを上書きしていけるようになります。
もちろん、リアルな施設の所有者の承諾は必要ですが、閉店後の商店街のシャッターを利用してアート展示ができれば、リアルな「ナイトミュージアム」になりますし、交差点でのゲリラライヴ、学校でのファッションショーやアートパフォーマンスなどが、街の至る所で開催可能になります。
従来は、リアルに人が集まれる場所に会場を設営し、開催する必要があった各種イベントが、開催場所・時間と鑑賞場所・時間とを自由にマッチングさせることができるのです。
さらに商業利用も可能です。
小さなコーヒースタンドが、個性的なブックショップになったり、フラワーショップでユニークなスニーカーが買えるようになるかもしれません。
基本的にはオンライン上での購入が中心ですが、リアルな場所の特性やストーリーを巧みに活かして、色々な場所で「裏ショップ」が展開可能になります。
オンラインショップだけでは、パソコン画面上でフラットに並べられてしまい、個性や差異化表現が難しいお店や商品の、販売ツールとして非常に有効だと考えます。
このように AR などの先端技術の導入・実装が進めば、街歩きの楽しみが一気に加速するのではないでしょうか。
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