top of page
検索
  • 執筆者の写真admin

次世代のアート街づくりの方向性:アートまちづくり ⑦

【内容】

  1. アートプロジェクトのゴールとして「心の基礎体力」づくり

  2. 持続性あるアートプロジェクトのための方法論



1.アート街づくりのゴールとしての「心の基礎体力」づくり

ヨコハマ・トリエンナーレや別府現代芸術フェスティバル、埼玉トリエンナーレなどのアートプロジェクトのプロデューサーを務めた芹沢高志さんは、「アートプロジェクトのゴールは、地域をアートで飾り、観光客を増やす事では無い」と仰います。

アート街づくりの有力方策であるアートプロジェクトでは、地域に愛着を感じ、アーティストが移住したり、地域の人たちの視野が広がり、意識が変わることなどの効果が現れますが、芹沢さんが想定するゴールは「心の基礎体力を向上させる事」なのです。

基礎体力は、①瞬発力:運動を力強く速く行うための能力、②持久力:運動を長く続けるための能力、③バランス力:運動を調整する能力、と説明されています。

「心」にも同様の基礎体力が必要であり、アートとの関わりを通じて、これを向上させる事が重要だという事です。日常生活のルーティンの中で、減衰しがちな、複層思考・柔軟思考・飛躍思考などを、アートを通じて取り戻す必要があるということでは無いでしょうか。


2.持続性あるアートプロジェクトのための方法論

心の基礎体力を向上させるためには、アートプロジェクトを、一過性のイベントで終わらせないことが重要です。そのための持続性あるアートプロジェクトの方向性について、東京大学出口研究室の提案では、方法論、組織論、空間論の3点で留意すべき方法論が示されています。


A方法論的方向性

  1. アートを「地域の魅力や課題を顕在化させるための表現手法」と捉え、地域のリサーチを踏まえたものとする事

  2. アーティストを「地域の新しい見方を提示する人」と捉え、アート関係者や建築・都市計画系の専門家、地域住民とのコミュニケーションの機会を整備する事

  3. アート街づくりを行う組織は、アートのクオリティコントロールに責任を持ち、ディレクターやキュレーターを中心に、アート作品・活動を地域に向けて咀嚼し、アーカイブを残し共有・発信する事

B組織論的方向性

①地域の文化芸術リテラシーを向上させるため、ディレクターやキュレーターを招聘し、アーティストのサポートと地域住民とのコミュニケーションを図る事

  1. 行政との協働を通じて、地域からの信頼を獲得しながら、適度な自律性を維持する

C空間論的方向性

  1. アーティストと地域住民との、日常的なコミュニケーション拠点空間を設ける事

  2. 地域の空間資源のプラットフォームを設け、アート活動が地域に溶け込むための小規模な機会を分散的に仕掛ける事


これらの方策を駆使することによって、アートプロジェクトに関連して、心の基礎体力が向上し、その人たちが繋がり、新しい動きを生み出す素地になっていきます。

アート街づくりのゴールは、心の基礎体力が高い人たちのコミュニティづくりと言えます。


具体的な施策の方向性として、「アート・イン施策」と「アート・アウト施策」に大別できますので、次回以降で詳細を説明します。

最新記事

すべて表示

今なぜ シェアオフィスを考えるのか? シン・シェアオフィス ①

【内容】 自宅でも企業オフィスでもない仕事場の必要性 サードワークプレイス市場 シェアオフィスの可能性 1.自宅でも企業オフィスでもない仕事場の必要性 コロナ禍で普及したテレワークですが、空間面・設備面の課題から、自宅のワーキング環境では十分な生産性の確保が難しいと、実感した人も多いと思います。 とは言え、週に2〜3日の出社とテレワークとを併用する、「ハイブリッド勤務」の快適性を実感してしまったワ

駅と鉄道会社の未来 シン駅3.0 ⑩

【内容】 1. 顧客接点のさらなる活用 2. ライフスタイルの共創 3. 「共創」から「競創」へ 1.顧客接点のさらなる活用 セブンイレブンジャパンの2022年年間売り上げは約5.1兆円で、その60%をオリジナル商品が占めると言われます。 同社では、1日1300万人の顧客(POS)データを元に、単品・個店・客層別の情報を、サプライヤーとも即時共有し、商品開発や製造計画、在庫管理や受発注に活用されて

駅の進化の効用 シン駅3.0 ⑨

【内容】 1.小田急電鉄の挑戦 2.「三方よし」の必要性 3.「お客さま」から「参画者」へ 1.小田急電鉄の挑戦 小田急電鉄は、コロナ禍を経て、「社内ベンチャーの育成」に力を入れています。 「クライマー制度」という独自の社内ベンチャー制度で、社内からアイディアを募り、さまざまなプロジェクトを事業化しています。 特徴的なのは、「地域の課題解決」というスタンスで、デジタルを活用して、鉄道とは直接関係の

Comments


bottom of page