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次世代の都市評価指標③ 幸せ実感を計測できる時代

更新日:10月17日

FIACS部会セミナーで矢野和男さんに登壇いただきました。矢野さんは(株)ハピネス・プラネット CEO兼日立製作所フェローで、慶應義塾大学の前野隆司教授とともに、日本の幸福学おけるトップランナーです。従来の精神病理を中心とした研究から、人が幸福になる為の研究にシフトさせ体系化した「ポジティブ心理学」の権威である米クレアモント大学のチクセントミハイ教授達と共同研究を進めてきました。「幸福とは“状態・ゴール”を指すのではなく、“行為・姿勢”として捉えるべきである。そして行為・姿勢は訓練によって改善できる」というポジティブ心理学の定義をさらに進め、人が幸福な状態は「会話中の共鳴行動」として現れ、スマホなどを活用すれば行動データとして計測可能であることを突き止めたのです。

1000万人日の膨大なデータをもとに、家族・お金・趣味など手段としての幸せは人それぞれで多様であるが、「生化学現象としての幸せは人類共通」であり、その生化学的な兆候として外から観測可能なシグナルが「身体の無意識な動き(=会話中の共鳴行動)」であることを突き止めました。この行動に裏付けられた幸福な姿勢(=前向きな心)で取り組む事が、生産性の向上につながり、仕事もうまく行き健康な状態になるという相関関係も研究成果から明らかになっています。

これらの研究成果は世界的に認められ、「人間中心の IoT技術の開発と実用化に関するリーダーシップ」に対して世界最大の学会 IEEEより「2020 IEEE Frederik Phillips Award」を受賞しました。

「幸せ実感は会話における共鳴行動としてスマホによって計測できる」と言う研究成果は、街づくりにおける重要な評価指標として活用できると考えます。アンケートなどの主観的でばらつきのある定性データよりも、正確に街の幸せ実感が計測・定量化できるのではないでしょうか。そして「幸せ実感=生産性向上」と言う研究成果に活かせば、街づくりの効果を街のユーザーの生産性向上という企業価値などの経済的な指数に変換することが、可能になるのでは無いでしょうか。

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