top of page
検索
執筆者の写真admin

次世代エリマネ(TCD)の時代① エリアマネジメントの必要性と限界

2000年頃から街の活性化の切り札としてエリアマネジメント(以下エリマネ)という考え方が積極的に導入されるようになりました。百貨店のように街を一つの事業体と見立てて、防犯・美化をはじめ、情報発信や賑わいづくりなどを共同で推進していく試みです。都市再生特区を適用する開発事業においては必須項目となり、容積ボーナスと引き換えに事業主体のディベロッパーを中心に、地域連携を模索する活動が推進されてきました。先進事例とされる欧米の都市でエリマネが導入された背景には、防犯や美化という喫緊の課題があり、BIDという地域を設定して地権者たちが「街の共益費」名目で拠出した資金をもとに活動し、治安とともに地域の価値を向上させる必要性がありました。安全や清潔が所与の条件になっている日本の都市では、主に地域活性化のためのイベント屋さんという認識で定着してしまっているようです。そしてディベロッパーの開業準備金が枯渇するにつれエリマネの原資も減少し、「イベント疲れ」とも相まって、活動が尻すぼみになっていく事例が多いようです。「大阪版 BID 」として注目された「梅田エリアマネジメント」も集めた共益費の分配方法に関して関係者の合意を得ることが難しく、公平性の観点から維持管理系の項目にしか活用できずに柔軟性に欠けている状況です。

ある企業幹部は「エリアマネジメントと言っているけれど、コストセンターになっているだけで、本当の意味のマネジメント(=経営)はしていないよね」と辛口の批評をしています。エリマネには自律的に価値創造していく視点と仕組みが不可欠なのです。

このような状況を踏まえて、私たちは次世代のエリマネ手法として TCDを提唱します。TCD とは「Town Contents Development:街のコンテンツ価値創造」という考え方です。「活性化は結果であって目標ではない」という認識のもと、オンライン1stの時代のエリマネ活動を「街のコンテンツを発掘・発信して価値化を図る」という目標において推進しようというものです。


最新記事

すべて表示

【方策1】時間シェア 多次元開発 ⑤

【内容】 時間価値の視点 夜時間の魅力と課題 夜市による時間シェア       1.時間価値の視点 以前 東京都心のビジネス街にカフェチェーンを誘致する時、「都心でもビジネス街では、週7日のうち土日の2日間の売り上げが立たないので難しい」と言われてしまいました。...

基本方針 多次元開発 ④

【内容】 これまでの論点整理 今後の課題と可能性 基本方針と5つの施策     1.これまでの論点整理 基本方針を設定するために、これまでの論定を整理します。 都市開発の市場環境では、人口減少に加えて、コロナ禍を経た都心の商業・オフィスニーズの減退という 需要環境...

不動産業の歴史 多次元開発 ③

【内容】 近世の不動産業 近代の不動産業 戦後の不動産業     1.近世の不動産業 不動産業の歴史は古く、2500年前の古代ギリシャには、「不動産」や「抵当権」の概念があったという記録が残っています。 当時からあった土地には、「所有権者」を示すために石でできた杭が打たれて...

Comments


bottom of page