実は医療施設におけるマーケティング視点での差別化競争はバブル期にもあったのです。その際には「健康」は付加価値として注目され、ホテルや病院、スポーツクラブなどに併設され、ゴージャスなインテリアで自由診療中心のメディカルブティックなどが提案されていました。現在でも医療マーティングというと①医療の質②アメニティ③人的サービスの三要素のうち②アメニティや③人的サービスに重きが置かれ、ともすると本質的な①医療の質よりも付加的なサービスが重視される傾向にあります。次世代の医療モールとして抜本的に見直す必要があるのは「医療サービスの質」ではないでしょうか。基本的に保険対象医療の範囲では、医師の技術料に差がつくことはありませんから、単純化すると高賃料の立地で高回転(長時間)運営をするか?住宅地などで住居併用施設を活用し、ローコスト&ローオペレーションをするか?しか選択できない訳で、都市型医療モールでは前者を選択されることになります。都市型医療モールが「プライマリーケアに徹する」という位置付けを踏まえると、ここで求められる技術力とは初期の検査力であり診断力になり、高度医療機関との連携力になります。さらに早期診断の有効性を鑑みると、通勤・通学の道すがらや買い物のついでなど、できる限り「気軽に立ち寄れる」立地と雰囲気が有効です。これらの施策を実施した上で、集客のため医療技術の向上に励む研修の仕組みを作り、技術力評価の可視化も有効です。これまでの医療モールのように開業医が寄り合い、受付や待合室の共有化するというレベルではない「共同での取り組み」が求められる時代です。次世代の都市型医療モールには一連の施策最適化に向けたマネジメントが必要なのです。
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