商業施設にはこれまでにも都市型の医療モールが併設されていましたが、大抵は上層階のテナントが抜けた跡を埋める形になっています。いわゆる「埋めグサ」です。年間数百万〜数千万人を集客してきた商業施設にとって、10人/時間の診療室10室を備えた医療モールがあっても、1日10時間で千人程度しか集客できず、シャワー効果とは言えない存在だったからです。ところがオンライン1stの時代になり、ショッピングの魅力が大きく減退し、リアルに出かける目的性・必然性の高い施設が求められるようになり、医療モールの存在感が大きくなりました。(株)スマートメディカルは、地域の診療科目調査はもちろん、法人化や高度医療機関との連携など、マネジメントされた医療モールの構築に努めてきました。商業施設と連携した医療モールを有効に機能させるには、動線や給排水設備などが課題になります。錦糸町パルコにスマートメディカルが開業した医療モールは、独自動線を備えることで、夜間など一般とは異なる診療時間にも対応でき、高稼働率を維持しています。食品スーパーなどの日常的な買い物機能が併設する商業施設との連動は、乳がん検診が40%と先進国最低の日本女性の受診率の向上を図るためにも非常に有効と言えます。
さらに立ち寄り性を強化し進化した形態が、大阪心斎橋パルコの「Welpa 」です。東急ハンズの健康フロアの一画にあり、カフェを併設し、「フェムテック」系物販・サービスをワンストップで提供しています。錦糸町も心斎橋もパルコ内の店舗や近隣商業施設の女性スタッフの「かかりつけ医」的な存在になっていると言います。このあたりに次世代医療モールのロールモデルがあるのではないでしょうか。
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