【内容】
1.文化施設におけるtoB戦略の必要性
2.マーケティングの進化への対応
3.多能性を求められる企業活動
4.協賛から共創(パートナー)へ
これまでの整理で、下記のような検討ポイントが挙げられます。
1.文化施設におけるtoB戦略の必要性
文化施設が入場料だけで事業化していくには、ライブホールのように「すし詰め状態」の公演を継続させるか、シネコンのように「ローコスト体制」を構築する必要があり、一般解とは言えません。
手間がかかる文化施設では、toC対応の入場料収入だけで運営して行く事には、限界があると考えるべきです。
赤字を税金で補填できる場合は良いですが、そうでなければ継続的な事業は難しいといえます。
toCの「入場料頼り」ではなく、toB対応の利用を促進させるためのアップデートが不可欠なのです。
2.マーケティングの進化への対応
テレビなどのマス広告は、「認知」を広げるには有効ですが、ニーズが高度化した日本のような成熟市場では、必ずしも売り上げに直結する訳では無く、より進化したマーケティング手法が求められています。
「認知→関心→検討→購入」というマーケティング・ファネルを作動させるには、第一段階の「認知」させるだけで無く、第二段階の「関心」につながる、「共感」や「ファン」など「自分ごと化」できるアプローチが必要です。
コンテンツやチームを支援することで、付帯するファンの好感を得られる「スポンサード」は、「関心」につながるマーケティング手法として非常に有効といえます。
3.多能性を求められる企業活動
個人が学校の偏差値だけで評価されないように、法人(企業)も売り上げや利益だけではなく、様々な評価指標で判断される傾向にあります
SDGs的な活動は、環境や人権などの「外部的な継続性への投資」と見做され、健康経営的な活動は、従業員の身体的、精神的健康などを通じた「内部的な継続性への投資」と評価されるようになっています。
企業は内部・外部ともに、より「長期的な成長継続性」が評価される時代になっているのです。
このような前提を踏まえると、「営業活動」か?「社会貢献」か?という二元論ではなく、生き甲斐、働きがいを含む広義の福利厚生や、社員の教育機会として、或いは新規事業の開拓につながる人材獲得・イノベーション機会として、多様なCSV活動を展開することが、本業への還元につながると考えられます。
4.協賛から共創(パートナー)へ
①文化施設の事業継続性、②進化したマーケティングへの対応、③企業の多様な CSV活動の舞台としての可能性などを前提にすると、集客施設のtoB戦略の有効性が浮かび上がってきます。
次世代のスポンサードは、従来のように一方的に金銭支援される「協賛」ではなく、企業の課題を共に解決する「対価」として、収益化できるのではないでしょうか。
文化系集客施設と企業とは、共創するパートナーとしての、関係構築が可能だと考えます。
以降では、具体的な施策を3つ例示していきます。
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