都市の日常生活では、あまり接点のない神社仏閣ですが、どんな状況で?これからどうなっていくのでしょうか?今回は、都市における神社仏閣を考えます。
【内容】
日本に深く根付いた二大宗教
苦しい台所事情
社寺には「経営」がない
1.日本に深く根付いた二大宗教
私たち日本人は、お正月には「初詣」に参拝し、死亡すると「お葬式」を挙げます。
その他にも、神社には、お宮参り・七五三・厄払い、お寺には、お墓参り・法要など、人生の節目節目で行く機会があります。
「宗教は?」と問われても、「無宗教です」と答え、関わりが薄くなったとはいえ、神道と仏教という二大宗教は、日本人の「習慣」の中に、深く関わっているのです。
日本に神社仏閣は15.3万軒あると言われます。明治初期には、神社だけで20万軒ありましたが、神社整理の政策によって減少し、今は、ほぼ半数ずつの割合になっています。
コンビニエンスストアの5.9万店(2020年)よりも多い神社仏閣のあり方を、社会インフラとして見直す必要があるのではないでしょうか。
2.苦しい台所事情
「現代日本の生活インフラ」になったと言われる「コンビニ」の、2.5倍もある社寺ですが、初詣の参拝客が300万人を超える、明治神宮や成田山新勝寺などの一部の有名社寺を別にすると、その台所事情は苦しいようです。
神社を支える氏子、寺院を支える檀家の減少に歯止めが効かない状況です。
葬式・法要の他に、墓園・納骨堂経営などの収益方法がある寺院に比べて、結婚式以外は、祈祷と賽銭などの手法しかない、神社の方が厳しいようで、2015年のアンケート調査では、年収300万円未満の神職が6割を超えると言う結果になっています。
敷地の一部を駐車場として活用したり、社殿改修など大きな費用が発生する時には、マンションを建設するなどして、工面している状況です。
3.社寺には「経営」がない
社寺は、基本的には世襲制で、ファミリービジネスがほとんどになります。
日常的な収入と支出だけでなく、50年100年単位の補修などの設備投資など、一般企業よりも「持続可能な経営」が求められるのですが、社寺には、この「経営」と言う視点がありません。
最近になって、ロゴマークを整えたり、デザインされたお守りを制作したりする事例も出てきていますが、本当の意味でのブランディングには、「コンテンツ×コミュニケーション」が必要です。
単に「集客策」だけではなく、「何を、どう提供し、どうマネタイズしていくのか?」と言う「経営」が必要なのです。
都市における神社仏閣の消滅は「文化的意義以上の価値を喪失することになるのではないか?」という疑問をもとに、今シリーズでは、社寺の今日的な意義と、これからのあり方を検討していきます。
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