top of page
検索
執筆者の写真admin

街づくりの「タブー」だった神社仏閣:社寺再考 ③

これまでの街づくりと社寺仏閣との関係を整理し、これからのあり方について、検討します。

【内容】

  1. 今昔の街づくりでの位置付け

  2. 都市における社寺の可能性

  3. シビックプライドの拠点としての社寺整備



1.今昔の街づくりでの位置付け

江戸時代までの社寺は、街づくりにおいて、大変重要な位置を占めていました。

門前町では、神社や寺院を中心に街が形成され、城下町でも、武家地、町人地、寺社地などに町割りされて計画していたのです。

ところが戦後以降は、「政教分離」の観点から、街づくりにおける「タブー」として、社寺との関わりは希薄になります。著名な社寺が存在しない地域では、社寺の敷地に「触れない」ように注意するだけで、その存在に配慮しないコンセプトで、市街地整備が計画されてきました。

道路の整備や再開発などの都市計画において、社寺の存在や意義を認識し、積極的に活用することはなかったのです。


2.都市における社寺の可能性

都市内の社寺は、庭園や境内などが貴重なオープンスペースであり、災害時には地域の人々にとって安全で安心な場所になります。さらに社寺の様々な施設は、文化財に指定されている事も多く、地域の歴史、美しい景観など歴史的・文化的な価値の高い拠点とも言えます。またソフト的な視点から見ると、社寺は葬祭や布教の場として、宗教的・心理的な存在であると同時に、寺子屋が開設されたり、地域の相談所などの役目を担う、地域コミュニティーの核として存在してきました。

また近年は、若い女性による「御朱印集め」やパワースポット巡りや、外国人観光客にとっては、日本らしいシンボル施設として、注目を浴びています。

このように都市における社寺は、公共的、文化的、観光的な観点から、非常に重要なポテンシャルを秘めていると言えます。


3.シビックプライドとしての社寺整備

政教分離のしがらみの中で、行政が特定の宗教や社寺を「援助していないこと」を、証明することは難しく、行政サイドからの積極的なアプローチは期待できません

社寺の整備には、個々の社寺が自ら持っている資産と可能性を、再調査して洗い直すことから、行動を起こす必要があります。

その上で、社寺と生活者との距離を、縮める取り組みが有効です。商店会や企業などと連携し、市民自らの施策として、機運を盛り上げていくのです。

社寺が存在する地域において、街づくりの観点で担うべき役割をしっかり抑え、人的連携を通じて、シビックプライドの拠点として位置付け、行政が進める様々な街づくり施策とパッケージ化していくことが重要といえます。

最新記事

すべて表示

先行指標の整理 エリアクオリアの可能性と課題 ②

【内容】 世界の都市総合力ランキング Liveable Well Being City調査 住みたい街ランキング センシュアス・シティ調査 先行指標の課題と検討のポイント     エリアクオリアの開発にあたっては、先行する都市評価指標を整理・研究しました。...

エリマネの効果測定の必要性 クオリアの可能性と課題 ①

【内容】 街づくり関係者がコミットできる評価指標はないのか? エリアマネジメントの限界 街づくり関係者の困りごと     1.街づくり関係者がコミットできる評価指標は無いのか? 2021年に私たちの研究会の検討会議で 「行政から容積ボーナス以外のインセンティブが無いか?と相...

Comments


bottom of page