【内容】
株式会社の原点
プロジェクト型組織の集合体
街まるごとホールディングス
1.株式会社の原点
株式会社が誕生したのは、17世紀に設立された「オランダ東インド会社」だと言われています。
オランダ東インド会社は、航海の資金を調達するために、投資家に出資を募ります。この出資者に、発行された証券が「株」の起源とされています。
当時の航海は、海賊の襲撃や疫病などの影響で、ハイリスクな事業でした。そこで複数の投資家から出資してもらい、貿易で出た利益を還元したのです。
東インド会社の事業は、平均20%という多大な利益をもたらし、出資額に応じて、その配当も変動したと言います。
株式会社の原点は、このように挑戦のリスクを低減し、みんなで利益を分け合う、出資と配当を繰り返す「プロジェクト型」の仕組みだったのです。
本来は、プロジェクト達成という目的のための手段と言えます。
ところが会社として、「常態化」することで、もちろん効率が良くなった部分もありますが、
組織の存続が目的化してしまいました。
ましてや、その「会社」が巨大化しまうと、緊張感のない中で、組織内の調整事項ばかりが増え、デメリットが大きくなるのではないでしょうか。
2.「プロジェクト型組織」
テクノロジーがあらゆる産業分野に革新をもたらすと共に、会社に求められる「仕事の重心」が、新規事業開発や研究開発など、イノベーションにつながるプロジェクト型の創造ワークに移行した事は、先に述べました。
そして創造型ワークは、社内のリソースだけで推進することが難しく、目標とするプロジェクトに向けて、社内外からスペシャリストが集まり、チームを組んで進行させ、プロジェクトの終了ともに解散するというプロセスになります。
「映画の制作システム」がよく事例としてあげらますが、冒頭に提示した「株式会社」本来の姿とも言えます。
「ダンバー数」として理論づけられた「顔のわかる人間関係の上限としての150人程度」が、フットワークの良い「会社」の規模かもしれません。
この規模の「会社」が沢山活動している状況が元気な街と言うことになります。
ワーカーもスペシャリストとして、様々なプロジェクトに重層的に関わる方が、緊張感と達成感、誇りにつながるのではないでしょうか。
3.街まるごとホールディングス
このようなプロジェクト型の会社を、継続的に支える仕組みが、街に備わっていると、効率的です。
これはよく考えると「本来のホールディングス」の考え方になります。
ホールディングスの大きな役割は、各事業会社の戦略実行支援です。
また事業会社が事業に専念できるように、経営コンサルティング・経営支援を通じて、企業価値の向上を図るという意味では、ベンチャーキャピタルと言えるかも知れません。
街全体で、このような役割の組織があれば、非常に機動的な事業会社が、活発に活動できるようになります。
「街そのものが経営資源」になります。
「街まるごとホールディングス」とは、「都市」を舞台にして「会社」の事業プラットフォーム化を図る方策です。
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