コロナ禍を経て観光行動が大きく変化しました。「とーりまかし(じゃらんリサーチセンター:2020年9月)」の研究によると、外出頻度・接触頻度の減少や衛生意識の高まり、緊急事態などの背景を踏まえ、リモートワークに伴う一人時間、家族時間の増加、知らない人への警戒、相手を選ぶ、さらには収入減少と不安、ストレスなど傾向が鮮明になってきています。その結果 ①旅行先の近場化・分散化:地元の再認識や愛着、混雑の回避と屋外アクティビティ増など ②旅行者の個人化・若年化:グループよりも家族や一人旅が増え、シニアは旅行控えなど ③旅行目的の二極化・内包化:贅沢と節約、行く行かないや同行者との絆や証を求めるなど の観光行動シフトが見られると言います。
早期にインバウンドの回復は望めないものの、コロナ収束後に旅行したい国・地域調査(日本交通公社2020年6月)では「日本がトップ」に挙げられ、引き続き人気が高いことがわかっています。日本の「清潔さ」を高評価され、インバウンドの旅行マインドは低下せず、旅行形態も長期化や予算の増加などの変化も見込めるようです。
これらの動向を踏まえ、アクティビティや文化体験などの観光目的となるメニューの充実、更にはストレス解消やウエルネス、自己改革のための旅行などのコト消費の加速化に対応したプログラムが必要です。従来路線を維持しつつも富裕層や SDCs などの政府戦略との整合なども視野に入れた準備も不可欠です。
大切なことは「この状況を踏まえて、何の為に、どんな一手を打つのか?」という戦略視点です。今後の対策として、次回以降に①近場での文化・自然交流型観光の促進方策としての「メタ観光」 ②リモートワークの拡張版としての「ワーケーション」 ③そしてインバウンド回復に向けたトレーニングとして「オンライン観光」を取り上げて論考を進めます。
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